2006/11/4 田立の滝群 長野県南木曽町 1日目の11月3日に不動滝、新九郎の滝を見て、4日の朝に姿見不動滝にふらっと立ち寄り、ついにこの旅行のメインである田立の滝に到着した。 田立の滝には2001年の9月に来たことがある。まだ滝のホームページを始めて日が浅く、詳しいレポートを作っていない。 また、その時は午後3時に駐車場に着いて、日没前に慌て天河滝まで行って引き返した。 そんなわけで、田立の滝は訪問済みの百選の滝ではあるが、どうも未消化の滝であるという印象が我々にはあった。 ということで、今回満を持して午前も早いうちに駐車スペースを出発。遊歩道は天然公園という高層湿原まで続いているが、滝群の終わりである「箱渕」まで行って引き返す計画をたてた。 姿見不動滝に寄ったものだから予定の8時から30分ほど遅れて駐車スペースに到着。 国道19号線から田立の滝に至るまで、いつも感心するのだが、木曽地方の観光案内の案内板はとてもしっかりとしていて迷うことはない。 だが、以前に来た時の記憶が見事にすっとんでいるので、こんなに国道をそれてからこんなに走ったっけか?というくらい山の奥に入ったところに田立の滝の駐車スペースはあった。 入り口に1台につき1000円、なんて立て看板があるのを見て、ゲッ、有料だったのか、ここ?と思うが徴収する人がいるわけでもない。そのほか協力金が同乗者の人数掛ける200円必要なんだそうだ。 協力金の存在は知っていたが、駐車料金は無いでしょう。 午前8時半で広い駐車場には我々の自動車のほかには1台しかとまっていなかった。 とにかく、帰りに駐車料金を要求されたら払うことにして仕度をする。
8時40分遊歩道出発。 木の道が斜面に張り出した形でつけられている。 最初の滝までは山道を50分というのは、案内版にも書いてあったし、2001年にも経験しているはずなのだが、こんなにみっちり登る道だったかしらん、とすっかり記憶がなくなっている。 前に来た時にもゆらゆら揺れる木の道には驚いたが、今回もしっかりそのまま。いや、きっちりと補修をしていたり、新しい木の道を作りなおしていたりはするのだが、概ね古くて歩みを進めるたびにゆらぐ。 あたり一面紅葉のピークで気持ちよく歩けるのだが、この揺れには慣れなかった。いつかきっと足を乗せた木がぬけて落ちるに違いないという恐怖がある。腐ったつり橋を渡るくらいの感覚である。 途中に新しく建てられた看板があり、道々立っている木に名まえがついていた。 @ A B C D E @もみたろう(モミ) 8時52分 Aけやきち君(ケヤキ) 8時57分 Bさわら大師(サワラ) 9時01分 Cひのきイチロー(ヒノキ) 9時10分 Dまきちゃん(コウヤマキ) 9時14分 Eつがえもん(ツガ) 9時19分 変化の無い山歩きが飽きたあたりでこの木のプレートが出てくるので、励みになる。 途中、「不動岩」という絶壁が遠くに望める。 不動岩 9時15分 この不動岩の鑑賞ポイントにはベンチもあるので一休みできる。 木々は赤く黄色く色づいていて綺麗だ。ひときわモミジが綺麗なあたりにらせん滝への下り口があった。 らせん滝入り口 9時20分 前回は時間の都合上、らせん滝にも行かなかった。今回はとにかく全て見るつもりなので当然下って行く。 ところがこの下り、けっこう急なのだ。木々につかまって、どっこいしょという感じで下りないと危険である。またあまりこの道まで来る人はいないのか、今までの遊歩道と違ってとても細い道だ。 急な坂を下ること5分。大岩の向こうにらせん滝が見えた。 おお。 田立の滝群の最初の滝である。 最初に見る滝がこの滝というのは、とても印象がいい。 谷間の底までおりて行ったので太陽は当たっていないのだが、水量が多く勢いの激しい滝が逆くの字に折れ曲がって落ちている。 らせん滝 ↑案内版へ 9時25分。谷底になっているためにひんやりとした感じがする。 大きさ比較として、滝前の大岩に立ったダンナ。斜めに切り裂かれた岩盤。 思い切り手を伸ばして滝つぼを撮影。上の写真のとおり、岩の向こうに落ちているのでがんばらないと滝つぼは見えない。樋状の岩盤の奥に水流があるために、意外にも水しぶきはそれほどたっていなかった。滝つぼは深く、青い。 下って来た道をひいひい言いながら登り、遊歩道に復帰。つり橋を渡ると、洗心滝の看板があった。 看板はあるものの、滝自体は木々に阻まれてよく見えない。 洗心滝 ↑案内版へ 9時33分。道は滝沿いにあるので、何度も滝が見える場所はないかと立ち止まったが、ついによく見えなかった。 以前もこの滝はたしかよく見えなかったはずだ。もうちょっと木をなんとかしてくれたらいいのになぁ。自然のものなのでそういうわけにはいかないんだろうけど。だが、洗心滝なみの落差はこの渓谷にはたくさんあるんじゃないかと思われた。 少し歩くと、田立の滝群の主瀑である天河滝にも匹敵する規模の霧が滝が見えてきた。 あ、すごい。 日光が当たって、虹が出ている。 道からはずれて、大岩がごろごろしている滝前まで進んだ。 霧ケ滝 ↑案内版へ 9時42分。落差30メートル。朝の光なのでうっすらしているが、下のほうに虹がかかっているのがわかるだろうか。 全体のたたずまいは左の写真の通り。滝の左側は木々がうっそうとしている。滝前は大岩だらけだ。 滝つぼ。巻き道から撮影。それほど深くは見えなかった。 主瀑の天河滝はこの霧ケ滝のすぐ上にある。すぐ上にあるのだが、そこにたどりつくには霧ケ滝を巻く必要がある。 前回とにかくビビったのは、霧ケ滝の巻きである。階段というよりは、ハシゴで、しかも手作り感の漂う不安定きわまりないものだった。きゃーきゃー言いながら登った記憶があるのである。 ところが今回は、きっちりとした階段ができあがっていた。落差30メートルの霧ケ滝を巻くわけなのでそれなりに急ではあるが、恐怖感はない。ちょっと息がきれたくらいであっさり天河滝に着いてしまった。 ちょっと急な階段。右手が霧ケ滝。左も崖になっている。 天河滝 ↑案内版へ 9時52分。落差45メートル。 左側は実は帰路に撮影したもの。この時刻では天河滝は半分が日陰になってしまい、右側のような見え方になってしまう。 あまりに直線的な落ち口の印象から、もっとすぱっとした直瀑であったように記憶していたのだが、意外にも複雑な水流をしていた。 白い岩盤が印象的である。 天河滝といえばこの落ち口。みごとなまでに直線だ。白い岩盤は花崗岩だそうだ。 日陰が大半だった天河滝は虹で迎えてくれた霧ケ滝よりも魅力が劣ってしまい、午後の日差しに期待することにして先を急いだ。 ここから先は未知の世界である。 天河滝の横にここから上流の説明看板があった。この上流にもいくつかの滝があり、高層湿原である天然公園に続いていると書かれてある。丸渕というのが滝群の最後らしいのだが、地図にあったのは箱渕までなので、とにかく箱渕を目指すことにした。 さて、まずは落差45メートルの天河滝を巻かなくてはならない。ここもまた急な階段の連続ではあったが、とりたてて恐怖心も感じずに右側に天河滝を見ながら登ることができた。 天河滝の滝上は、角のとれた大岩が並んでいる不思議な空間だった。 天河滝上。10時02分。 別段ロープが張られているわけでもなく、簡単に天河滝の落ち口まで行けるようになっている。だが、はるか下方に霧ケ滝の落ち口が見えたりして、さすがにその落ち口まで行くつもりにはなれなかった。 さらに上流まで登って行くと、つり橋があった。連続して2つのつり橋が見える。さっきまでの天河滝上ののっぺりとした感じはこのつり橋のあたりにはなく、渓流の風情になっている。 一本目のつり橋の向こう側に避難小屋もあった。 一本目のつり橋。 二本目のつり橋から見える水流。不動滝のすぐ下流である。 二本目のつり橋からは不動滝が見ることができる。ただ、滝の横、下側から見るために、全貌があまりよく見えない。道からはずれて滝に近づいてみたが、今度は近づきすぎて滝の部分しか見えなかった。 不動滝 ↑案内版へ 11時11分。滝として見えている部分は実は上半分。下半分はなだらかなナメ滝状になっていて、赤っぽい岩盤である。 この滝は龍ケ瀬の上のつり橋を渡って林道に出て少し歩くと滝見台があるらしいのだが、我々はそちらまでは行かなかった。 不動滝の脇は、つづら折の階段になっている。階段としてはなだらかなほうなのだが、つづら折になっているのでかなり長いこと登らなくてはならない。 つづら折の階段。この途中から不動滝前まで行ける。 なんとかがんばって登ると不動滝の上に出て、龍ケ瀬と看板が出ていた。 これが実におだやかで綺麗な瀬である。広い渕にたたえられた水は透明だし、そこに至る水流は階段状になった岩盤をすべるように落ちている。上流はするりとしたナメである。 さまざまなすばらしい滝たちの中にあって、ちょっと見落とされがちなのだが、この渓流の中でもピカ一の景観なんじゃないかと私は思った。 龍ケ瀬 ↑案内版へ 10時18分。瀬全体の写真が私の撮影したやつしかなくて、下手くそですみません〜。 こちらは帰り道に撮影した日の光が当たった龍ケ瀬。日陰のほうが神秘的かも。 龍が瀬を横に見ながら進むと、橋が見える。その下に滝の姿もあった。かなり昔のネームプレートらしいものが龍ケ瀬のそばにあったので、その滝が鶴翼滝だとわかった。 龍ケ瀬から見た橋。龍の上橋というらしい。下には鶴翼滝。 鶴翼滝 ↑案内版へ 10時24分。橋のすぐ下にあるので見落としがちだが、あちこちに分岐する綺麗な滝である。橋から見下ろせる。 鶴翼滝の上にある橋を渡ってしばらく進むと不動岩と不動滝のビューポイントがあるらしいが、そちらには進まずに先を急いだ。 不動滝から上は道はとても細くなり、岩がちになってくる。川を形成する岩盤も角張っていて、いかにも上流に来た感じがする。注意しながら歩いて行くと、ついにそうめん滝と書かれたプレートが出てきた。 そうめん滝 ↑案内版へ 10時26分。角張った岩がこまかく積み重ねられているような場所に水が落ちている。水量が多い時にはそれぞれの岩に水が分岐してそうめんのように見えるのではないか。我々が行った時には、主の流れのみでそうめんっぽくなかった。 全体はこんな感じ。右側の岩のすきまからも水か流れるのかしらん。 そうめん滝はほんの1メートルもないような滝で、むしろ滝というよりは渕の青さが印象的だった。上流も似たような流れが続き、そして、いよいよ箱渕のプレートが出現した。 箱渕 ↑案内版へ 10時32分。渕と名まえがついているが、落差をとればむしろそうめん滝よりも落差がある。右と左の写真はほぼ並んだ状態の水流だ。 川全体を撮影するとこんな感じ。右側の奥が上の写真の右の滝になる。 箱渕を撮影した所で今回の田立の滝群のほとんど全てを見たことになる。あとは戻るだけだが、その前に少し早いが腹ごしらえをすることにした。箱渕あたりで、と思っていたが、箱渕は日陰になって昼食をとるのには陰気な感じだ。 そこで少し上まで歩いて行くと、岩がなだらかになった場所があった。秋の陽がサンサンと当たって気持ちがいい。 11月のわりに気温が高かったので、私もダンナもかなり汗をかいた。上着をぬいで岩の上にひろげで汗を乾かしながらの昼食である。カップラーメンとコンビニおにぎりだが、綺麗な水のそばでは格別の美味さだった。 昼食を食べ終えたあたりで上流のほうから下りてくる老夫妻がいた。どうやら彼らが我々より先に駐車スペースにとめていた唯一の自動車の持ち主らしかった。天然公園まで行かれたのだろうか。この時間で戻って来るとは、かなり早めの出発だったに違いない。これまでただの一人も出会っていなかったので、今日初めてのあいさつになった。 帰り道は、いきなり龍ケ瀬の上の橋のあたりで小犬を抱いたカップルとすれ違った。天然公園まで行ってきたのかと尋ねられたが、まさか犬抱いたまま登るんだろうか。いや、ここまで来ただけでもかなりのものだけど。 それからは何組もの人とすれ違った。やはり小型犬をつれた人が不動滝横のつづら折の階段を犬が登って来るのを待っていたりして。こ、このコースは犬の散歩コースだったのか?と思ったりして。あの隙間の多い階段や木の道は小犬には辛かっただろうなぁ。犬の危険も充分に配慮して連れて行って欲しいものである。 さて、天河滝の上まで来ると、おお、いたいた、滝の落ち口まで行って休んでいる人がいる。あの位置まで行くのはちょっと勇気がいるだろうなぁ。 分かりづらいかな〜、赤い矢印が休む人。で、右がその拡大図。 ちなみに、下からもその人の半身が見えました。 左の写真の赤い丸の中にチラっと見える白い部分がその人。右は大きさ比較として、観光客と天河滝。 帰りになって天河滝にも全体に日光が当たり、行きの時よりも綺麗に見えるようになっていた。歩き通してみると、時間の経過で滝の見え方が違うとわかってこれもまた面白かった。 帰り道はゆらゆら揺れた木の道の不安定さにもすっかり慣れてしまって、揺れようが何しようがスタスタと歩き、12時27分には駐車スペースに着いた。着いてみてびっくり、我々を含めて2台だけだった自動車がほぼ満車状態に増えている。 それでも駐車料金を徴収するような人もいなかったので、とりあえず2人分の協力金を緑色のポストに入れて、遊歩道の整備に感謝した。 紅葉満点、お天気満点。滝たちも素晴らしく、田立の滝群は我々の中でもかなり好印象の滝になった。 2006年秋の滝めぐりそのHうるう滝へ |
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交通 田立の滝群 最寄ICは、中央自動車道中津川IC。(ただし我々は飯田市から国道256号を利用して来たので、以下の説明の道は利用していない) 国道19号線中山道を南木曽町に向かって北上する。国道256号へ左折して、道の駅きりら坂下あたりから県道6号に入ってさらに北に向かう。この道は木曽川をはさんで国道19号線と平行して走っている。 おそらくこのあたりからもうしっかりと道端に観光地の案内が立っているはずである。 それを見落とさないように目印である田立の滝キャンプ場を目指す。 村中の細い道を走り、道は林道のようになってくる。キャンプ場を通り越すと、突き当たり、周辺の案内図がある。右の未舗装の道へ行くとうるう滝、左に進んで山を登って行くと田立の滝の駐車場に到着する。最初に第二駐車場があるが、11月の三連休の中日でも正午あたりで一番近い駐車場には駐車スペースがまだあったので、上の駐車場まで行ったほうがよい。 田立の滝群の最初の滝であるらせん滝の降り口までは単調な登山と思ってよい。ただし、木の道が斜面に張り出してつけられている道も多いので、やや足元が不安定である。しっかりとした足回りで行こう。 滝前に行くつもりであれば、大岩などもよじ登るので軍手もあったほうがよい。 主瀑の天河滝までは、我々の足で写真を撮影しつつ1時間強。箱渕までは2時間ほどである。 駐車にあたっては、協力金が一人200円必要。無人であるが、木の道等にかなりの労力が使われていると思われるので惜しまずに協力しよう。 |
2006年秋の滝めぐりその@龍双ケ滝へ
2006年秋の滝めぐりそのA仏御前の滝へ
2006年秋の滝めぐりそのB姥ケ滝へ
2006年秋の滝めぐりそのC馬尾滝へ
2006年秋の滝めぐりそのD不動滝へ
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