2004年秋の滝めぐりその4
  その3十和田湖周辺の滝へ 奥入瀬の滝 その5大空滝へ 




銚子大滝
かの有名な銚子大滝である。
奥入瀬を代表する滝だけあって、
美しいの一言。


九段の滝
横に走った岩盤の断層が個性的だ。




双白髪の滝


不老の滝


白糸の滝


上の3滝と下の白布の滝は
後で写真を見ても区別がつきづらい滝だった。
白糸の滝は撮影スポットらしいが、
林の向こうに見え隠れする、
じれったい滝である。


白布の滝



雲井の滝
ここまでの滝に比べると
はるかに水量が多く、豪快である。
上段と下段の向きが違うのも
面白い。




双竜の滝
実は私的には奥入瀬の滝めぐりの
メインに据えていた滝である。
思った通り美しい滝だった。
ただ、飛沫がものすごい。
カメラの防水対策が必需である。


見上げると、ぐるりと岩盤が取り囲んでいる。
そのせいなのか、滝風がものすごい。


滝つぼはなく、崩れた岩に水が当たって
レースの模様を作る。


双竜の滝の下の流れ。
苔の緑と水の流れが印象的。
2004/10/10 
翌朝、目覚めてもまだ今日は曇りだと信じていた。
なぜなら、この宿、妙に外の音が聞こえない。夜中もびゅうという風の音も雨の音も聞こえないのだ。これは、『松見の滝』に行けるに違いない。
カーテンを開けてみて、あっさり期待は裏切られた。
しとしとと雨が降っている。
多少の雨なら歩くつもりでいたが、微妙なラインでしとしと、しとしとと降っているのだ。さて、どうしたものか。
とにかく、十和田湖に向かって出発することにした。

朝7時、鍵をあけてもらって出発。十和田湖まで走るうちに雨足が強くなってきた。こりゃ、ダメだ。無理をして敢行したら遭難する。
あっさり予定を奥入瀬の滝に変更した。
台風だし、まだ早朝だし、紅葉の時期の奥入瀬は大渋滞するそうだが、今日なら大丈夫だろう。
まずは、ビジターセンターでもあったら入って、そこで滝のパンフレットでも入手して、と、簡単に考えていた。
ところが、十和田湖がわから行くとビジターセンターなんて無いのだ。道の駅もない。ありゃ、宛が外れてしまった。こうなると資料は『日本の滝@』以外に無い。仕方がない、とにかく国道102号に入って、『日本の滝@』に出ている滝をつぶして行こう。あとは現地に看板があるだろう。

実に安易に奥入瀬に到着。さすがにまだ観光客の姿はチラホラである。
奥入瀬の各滝の前には駐車スペースらしいスペースはほとんど無い。ちょっと路肩が広くなった程度の場所に駐車する。例えばそこに観光バスが停車していたら、もうアウトである。
もっとも、そのちょっと広くなったスペースというのは、観光バスが停車して、車窓より滝を眺めさせるスペースなのかもしれないが、そんなことは知ったことではない。早いもの勝ちである。
まず、『銚子大滝』に出た。ありゃりゃ、奥入瀬のハイライトがいきなり登場してしまった。そりゃそうだ。本来なら、下流から上流の十和田湖に向かって散策するように奥入瀬はできているのである。だから下流のほうに渓流館なりレンタルサイクルだのがあるのである。逆から回ってしまったら、いきなりのハイライトは仕方のないことである。
奥入瀬川がそのまま落ちている銚子大滝は思ったよりも綺麗だった。落差も無いし、観光地だし、そんなにいい滝じゃないだろうと勝手に思っていたのだ。すみません、誤解でした。
なんといっても幅広で水の落ち方が綺麗である。しかも、周りの空気がいい。この日はあいにくの雨だったが、みっしりと密集した緑とほんのりと色づいた紅葉が滝の上にかかり、とても気持ちのいい空間だ。

銚子大滝の駐車スペースから道を挟んで向かい側に滝と名前はついていないが、実に見目の麗しい流れがある。『寒沢の流れ』というそうだが、これだって滝と言っていいんじゃないかしらん。
  
寒沢の流れ。綺麗でしょ?

自動車に乗り、すぐに九段の滝の看板を発見。路肩に自動車を止め、雨で滑りやすい遊歩道や橋を渡って九段の滝の下まで行った。どうやら下流のほうから散策してきたらしい女性が2人、傘を差しつつ携帯で記念撮影していた。うーむ、歩いてこの雨の中滝を見るつもりにるとは、観光客恐るべし。

奥入瀬川の対岸に直瀑が見える。あれは何滝かしらん。
ちゃんと看板が出ていた。不老の滝だそうだ。
続いて白糸の滝。これも有名な滝なので、看板があった。白糸の滝は奥入瀬川の向こう側に落ちているが、川のこっち側、道を挟んだ山のほうにも滝がある。双白髪の滝という。
この3つの滝はみんなスッと落ちる細長い滝で、木々の間から覗く姿が背筋を伸ばしたような感じがする。
このあたりで観光バスが出没し始めた。路肩の広くなっている場所で停車しては、お客に滝を見せている。高い窓から濡れずに滝を見るのは、そりゃあ快適でしょうよ。なんか、見下されて雨に濡れている自分がちょっとみじめに思えてしまう。
あとで入手したチラシによるとこのあたりに姉妹の滝、玉簾の滝、白絹の滝、岩管の滝などがあるらしいが、この時点ではどこに滝があるやら資料が無かったのでわかる範囲しか回ることができなかった。

し、とりあえず、前半の滝は見た。
雨が強くなる中、傘をさしてダッシュで撮影、自動車の中でカメラを拭くという繰り返しである。なかなかハードだ。
が、これから先が実は最大にハードなのだ。
自動車を今までの距離よりは少しだけ多めに走らせて、車窓から『白布の滝』を見る。これも白糸の滝みたいな感じの滝である。
そこからすぐに雲井の滝の駐車スペースに出た。
駐車スペースといっても本当に路肩が広くなっただけである。雲井の滝はいいとして、実はこの上流の双竜の滝にも行くつもりだったのである。この滝へ行くには徒歩15分かかる。往復30分。そんな時間を路駐していいものか。いつもなら遠慮するところだが、雨じゃんじゃん降っているし、まだ9時前だし。かまうこっちゃない、と出発した。

『雲井の滝』は、国道からすぐに到着する。国道からじかには見えないが、歩いて2分くらいで滝下に行ける。
思った以上に大きな滝で、二段になって落ちる姿が豪快だ。また上段と下段の向きが違うのも面白い。

雨がまた激しくなってきた。
が、臆することなく雲井の滝の手前からの登山道にとりついた。標識は無いが、登山道はすぐに分かった。上流ってことは、この高い雲井の滝を乗り越えるってわけか?ちょっと怖くなる。
最初は雲井の滝に背を向ける感じで登って行く。どんどんと沢から離れる感じだ。果たしてこれでいいんだろうか。
登山道から国道102号が見えて、雲井の滝を客に見せるためにバスが停まっているのがわかった。おお、我が家の自動車がめいっぱい邪魔になっている。知るもんか(こらこら)
道は沢からどんどん離れて、山を大きく巻いて上流にたどりついた。途中、これは確実にナメコだ、と思える茶色くてテラテラした真ん丸いキノコがたくさんあったが、キノコだけは分からないのでとらない(笑)
登山道というか、踏み跡は、道が無くなることはなかったが、雨で濡れた草が覆いかぶさって来ていて、傘を差していてもびっしょり濡れた。道自体は険しくないので、傘を差していても充分に歩けるのだが。
ややして、双竜の滝が見えた。
これはすごい。高い位置から末広がりに水が広がって落ちている。
雨なんだか飛沫なんだか分からない水が容赦なく吹き付けて来る。これは、たぶん滝の風によるものだろう。真横から水が来るもんだから、カメラを向けると1秒もたたずにレンズが濡れてしまう。
滝の下まで行く道もあったが、足元が悪いために行くのはやめておいた。我々が滝を見たのは、登山道の突端で、滝の横がわから見る位置である。
滝つぼはなく、崩れた柱状節理の角ばった岩が転がっていて、そこに流れる水がまた美しかった。

渋滞の原因になっていることが考えられたので、それほと長居もできない。またびしょ濡れになりながら来た道を戻った。
雲井の滝前にはさっきは何人もいなかった観光客がどっさりいた。どうも我々の自動車が呼び水になって、何台も自動車がとまることになってしまったらしい。本当に渋滞の原因になりそうである。
とっとと撤収するに限る。

雲井の滝を出てしばらく走ると石ケ戸の休憩所に出た。ここなら何か資料があるだろうと思って、満杯の駐車スペースにむりやり突っ込んで立ち寄る。雨にたたられた観光客でごった返していたが、資料は全くなかった。奥入瀬って、不親切じゃないのかとまで思った。
ここでお土産でも買おうかと物色してみようと思ったが、お土産らしいお土産は置いていなかった。
諦めてさらに下流に向かい、焼山にある奥入瀬渓流館に到着。ここで初めてパンフレットは有料(たしか400円)だと知った。有料だと〜?それはちょっと無いんじゃないの?
ウロウロとしていたら、湧水の水出しコーヒーを扱う奥入瀬湧水館の喫茶スペースに張り出してあるチラシを発見。裏に湧水の購入会員申込書なんてのがあるが、表に立派に滝めぐりのマップがある。店の人に言ってこれを分けてもらった。もちろん、有料の湧水は買う気も無いのだが。
どうして奥入瀬はみんな有料なんだろう。湧水だって、天からのいや、地からの恵みじゃないか。どうもネームバリューに胡坐をかいているようにしか思えない。
そこからさらに下流に向かったのたが、奥入瀬川は清流というよりは濁流になっていた。ここ数回の台風のせいで木が倒れ、無残に川に横たわっていたりした。どうにも、印象のよくない場所になってしまった。
  
倒木が流れに突っ込んでいる。下流のほうではもっとすごいことになっていた。

あとは、国道103号を蔦温泉側に少し入った所にある『松見の滝』への林道の入り口を次回のためにチェックするだけである。
入り口は分かりやすい場所にあった。この先を1時間半歩くと『松見の滝』である。待ってろよ、松見。来年あたり、必ず来るからな。
  
レンズが曇ってしまった。林道の入り口。

松見の滝への林道の入り口をチェックし終えた段階でまだ10時半である。早すぎる。だが、雨でとっぷり濡れてしまったし、ヘンに疲れてしまった。早々に岩手の友人宅に向かうことにした。
ついては、どこかで湧水でも汲もうか、と、地図を見て、道の駅『奥入瀬』あたりに落人の里の水というのがあるのを発見した。サクサクと水を汲んでしまおうと、そこに向かったのだが、この雨で水を汲む場所に雨水が入り込んでしまっていて、とても汲める状態ではなかった。
  
これが入り口。この下にある。

  
見た目で白濁してしまっていた。
困った。明日友人に湧水コーヒーをご馳走したいのに。どうする?よし、岩手まで行ってしまおう。どうせなら名水百選の水を汲もうじゃないか、と、岩手県の湧水、金沢清水に向かうことにした。

途中青森ならりんごでしょう、と、りんご園に行ってお土産のりんごを購入。ただし、今年は台風のせいか、りんごもあまりよくなかったし、ちょっとお高めだった。ここに来て、雨で濡れた体がガタガタ震えてきた。自動車の暖房でもどうしようもないくらい寒くなってしまった。
これはもう温泉しかない。と、いこうとで岩手に向かう高速道路の入り口に程近い古牧温泉に向かった。温泉についてのレポートはここへ

温泉に浸かって、すっかり着替えてぬくぬくになって、『松見の滝』に向けて容易していたおにぎりを駐車場で食べてから高速道路に乗った。
第二みちのく道路、八戸自動車道、東北自動車道と乗り継ぎ、松尾八幡平ICでおりる。それから案内に従って八幡平まで進み、八幡平トラウトガーデンの手前の駐車場にあった地図看板で場所を確認。トラウトガーデンの前を通って進むと、『金沢清水』の文字と矢印の書かれた看板があった。よし、発見。矢印の方向に進むと、あらら、門が閉ざされている。
どうも、この門の向こうは、水道関係の施設らしく、看板の近くの大きな門は開け放たれていて、見学をしたい方は係りに申し出てください、と、重々しく書いてあった。見学じゃないのだ。水を汲みたいのだ。
どこか、この門じゃなくて、別の行き方があるかもしれない、と、ぐるっとあたりを回ってみたが、やっぱりこの門の向こうに行くしかなかった。
戻ってみると、正門のすぐそばの水道の蛇口から水を大量に汲んでいるご夫婦がいる。これは幸いと『金沢清水』の場所をきいてみた。
話によると、金沢清水はすぐそこで湧き出ているが、係りの人に言ったら、あの水はそのままでは飲めないので、ここの水道から飲んでくれと言われたとのこと。え、水道の蛇口の水って・・・
とにかく、向こうにあるという『金沢清水』を見に行くことにした。見事に水道施設の敷地内である。係りの人は休日のためいない様子だった。
言われた場所に行って見ると、おお、すごい。水が巨大な山のようになって噴出している。こりゃ湧水の範囲を超えている。直径1メートル以上の水の束が高さ1.5メートルくらいどわどわと出ているのである。
よくよく見ると湧水はずっと山の上から引いているようで、太い管が山からその場所、つまり水道施設に通じていた。その一部がこの場所でそのまんま噴出しているらしい。
噴出している場所にも蛇口があり、そこの水を口に含んだら、ものすごくうまい。きっちり見消毒であると書かれてあったが、生で飲まなきゃいいのだろう、ということで、ここの水をちょうだいすることにした。
さっきの水道の所に戻ってみると、まだご夫婦がいたの。出しっぱなしの水道の水で自動車を洗っている。おいおい、隅々まで利用しているじゃないか。
試しに水道水のほうも飲んでみたが、わずかに喉にかかるものがあった。何かしら消毒は施されているらしい。が、出しっぱなしの水受け口には綺麗な水草が生えていたので、温度の一定した湧水であることには間違いなさそうだ。
  

  

  
あまりに面白いので、3連発。この写真の左下に水道の蛇口がある。水の柱が白くて飛んでしまったのが残念。

  
これが建物の前のの水道。出しっぱなし。

これで、湧水を入手することができた。
あとは花巻の友人宅に向かうだけである。電話を入れると友人はなんで八幡平にいるのか不思議そうだったが、ま、深く考えないで欲しい。どうせ、滝○か、水○かです。



実は、奥入瀬に入る前に国道454号沿いにある権現の滝にチラッと寄ってみた。
道沿いの駐車スペースに自動車を止め、近くの階段を登り、そこから先は踏み跡になっている道を少々進むと沢につきあたる。ところがふだんなら簡単に渡れたと思われる沢が増水していて、最後の最後にきて足場だったであろう木の板が流されてしまっていて渡ることができなかった。
遠目に見た滝がこれです。
  
長靴だったら行けたはずだけど。
交通
奥入瀬渓谷  
 いわずと知れた大観光地なので、まず迷わないが、できれば順当に下流から十和田湖へ向かってゆっくり散策するのがいいと思う。下流から行こうと思う場合は第二みちのく道路三沢ICから県道10号で十和田市に向かい、そこから国道102号で十和田湖温泉方面に向かうのがてっとり早い。
もし、大湯川沿いの滝を見ながら行きたいのであれば、東北自動車道十和田ICから国道103号を利用して、十和田湖をぐるっと回って反対側に出ると奥入瀬になるが、いきなり銚子大滝になってしまう。
 イラストマップは有料なので、あらかじめどこかでマップを入手していくのがよいと思う。最初に現れる観光拠点の渓流館、湧水館で湧水購入会員の申し込み書の裏に滝めぐりのマップがあるので、これでも用は足りる。下流から、川と国道を挟んで左右に以下の通りである。
  千筋の滝
  雲井の滝
  双竜の滝        白布の滝
  岩管の滝
  玉簾の滝        白絹の滝
  双白髪の滝       白糸の滝
  姉妹の滝        不老の滝
                九段の滝
  寒沢の流れ 銚子大滝
                五両の滝
          十和田湖

金沢清水
 百選の湧水なので迷わないと思ったら、詰めで少し戸惑うことになる。我々が行った時も探していた人は何人かいた模様である。
東北自動車道松尾八幡平ICでおりて、県道45号を八幡平に向かって走る。途中で東八幡平と御在所温泉や八幡平へ向かう分岐があるが、こちらは東八幡平へ。
県道23号へ左折することになる。
左折して少しすると東八幡平の地図看板があるので、そこを左折。目指すのは八幡平トラウトガーデンである。
トラウトガーデンの前を通り過ぎると行き止まりになる。正面は水道施設の大きな門だ。
その手前に『金沢清水』という看板と矢印があるが、この正面の門から入ってすぐの建物の前にそのまま飲める湧水の蛇口がある。
水の柱になってている金沢清水は、この建物から右側奥に少し進んだ場所にある。そのまま自動車で行ける。
水柱は思った以上にデカイのですぐにわかる。
係りの人がいるようなら、一声かけて行こう。

2004年秋の東北滝めぐりその1(不動の滝)へ
2004年秋の東北滝めぐりその2(小根津都の滝)へ
2004年秋の東北滝めぐりその3(十和田湖周辺の滝)へ
2004年秋の東北滝めぐりその5(大空滝)へ

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