雄飛滝前氷柱 滝ではない。なので氷瀑とは言えない。 しかし、この岩盤から染み出る清水は、 夏にはすばらしい虹をつくり、 厳冬期には見事なツララを形成する。 自分に向かって落ちて来そうなツララ。 1本10メートル以上ある。 ただし、沢をはさんだ対岸にあるので、 絶対にこちらには落ちて来ない。 左下に雪田爺さんの三脚とご本人がいます。 規模がわかってもらえるだろうか。 右下にダンナがいる。 ダンナとツララの間にすっかん沢が 流れている。 ツララから少しだけ首を右に向けると 豪快に落ちる雄飛滝が見える。 滝つぼの青さが印象的。 なぜだか氷の冷たさは感じさせない。 すっかん沢独特の やや白濁した色のせいかもしれない。 そこここに氷の芸術ができあがっている。 沢と寒さは色々な造形を楽しむ。 仁三郎の滝。 すっかり雪に埋もれて見えた。 ミルクレープのように 雪が何層にもなって重なっている。 滝前にて雪田爺さんの撮影姿。 サンタクロースかと思った(笑) 集合写真。 雪上でのセルフタイマーには 充分に気をつけましょう。 |
2005/2/11 ことの始まりは、昨年7月に行った塩原のすっかん沢である。雄飛の滝の滝見台で出会ったカメラマンが対岸に落ちる清水が凍るとすばらしいのだと教えてくれた。 ならばぜひとも冬に来なければならない。 ある意味使命を感じてしまった。 そんなわけでこの冬の凍る滝めぐりは昨年7月から塩原に決定していた。 だがしかし、その後さらに我々は氷柱の情報を得てしまう。昨年8月に行った根尾の滝の帰り道立ち寄った木曾の滝たちの資料の中に白川氷柱郡というのをみつけたのだ。氷柱群?そいつは壮大な。ぜひ見てみたいものだ。 だが、水が凍るほどの極寒の季節は限られている。さらには、我々が出歩ける連休ともなると遠出できるのは、1シーズンに1回のチャンスしか無いのである。 今年ぜひとも行きたい氷柱は塩原と木曾。 地図を広げなくとも、とんでもない距離があるのは分かる。 でも、行きたいんだもん。 と、いうことで、新潟を出て磐越道、東北道経由で塩原、すっかん沢をやっつけて栃木を横断、群馬の伊勢崎で北関東道、関越道、上信越道を通って日が暮れる頃たどりつける鹿教湯温泉に宿をとり、翌日木曾に向けて自動車を走らすという高速道路使いたい放題の作戦に出た。 幸いなことに一般道も真っ青の圧雪状態の磐越道以外はすべてドライのコンディションでストレス無くドライブすることができた。 が、できればこんなに無駄な走行距離を走る計画は立てたくないものである。いつでも見られる滝であれば、1箇所できゅっと詰まった内容のほうがずっといい。 栃木の滝といえば、下野爺の写真帖の雪田爺さんテリトリーである。いくぞいくぞと前々から表明していたら、つきあってくださることになった。今年初のミニオフである。 集合は雄飛滝遊歩道の駐車場に午前10時。朝五時に新潟を出発して栃木に向かった。 天気予報は、新潟について言えば雪。塩原方面は晴れらしい。ただし気温は低い。場所によっては真冬日になるかもしれない。道路凍結を心配しながら磐越道に乗る。この高速道路は新潟と福島の県境の豪雪地帯を通るので、とにかく雪はすごい。しかも、ローカルもローカル、道路公団も見放したかというくらいの道路なので除雪が迅速ではないらしい。今まで真冬の高速道路もいろいろ走ったが、ツルツルの圧雪で目がまぶしいくらい真っ白の道を走ったのは初めてである。しかも対面通行。かなり恐ろしい目にあった。 ところが、会津地方をぬけたとたんに晴れた。空気がガラっと変わって太平洋側の乾いた空気になった。ほんの30分も違わない距離でこれほど違うのかというくらい劇的な環境の変化である。ああ、羨ましい冬の太平洋側の気候。 東北道に乗り、西那須野塩原ICで降りようとすると、出口渋滞の表示。東京方面からのスキー客で出口がいっぱいである。われわれは反対がわからおりたので、列の途中から割り込むことができた。まわりにはまったく雪の気配すらないのに、スキーなのねぇ。 しかし、これでは国道400号の渋滞が思いやられる。案の定、途中でピッタリ動かなくなった。マズい。これでは10時に着けない。 地図を見ると横にそれる道がある。途中から400号に合流するらしいが、そっちが動いてくれていればラッキーだ。賭けに出て、横にそれてみた。 なんとかピッタリ止まった場所からいくらか前に出て、のろのろと温泉街に進むことができた。あとはビジターセンターのほうに進んで温泉街の裏を行くので渋滞は無い。よし、これで間に合う。 ところが、一度来たことのある道のはずなのに、ちょっと山に入ったらあたり一面雪景色になっていてまったく様子が違う。ヘンな所で道を間違え、日塩もみじライン上にある新湯に出てしまった。どうしてこんな所に出るんだ〜。逆向きにUターンすると、見るも懐かしい泉まで○キロの青い看板がある。逆に走っていたのだ。 ジタバタあわてて雄飛滝遊歩道の駐車場に向かった。 ちょうど10時に駐車場に滑り込んだら、まだ雪田爺さんの自動車は到着していなかった。よかった。待たせずに済んだ。5分とたたずに雪田爺さんも到着。 支度もそこそこに除雪でできた雪の壁を乗り越えて遊歩道へ歩き出した。 積雪腰下くらい。だが、前に行った人たちの足跡がくっきりついていて、もぐってしまうことはなかった。 積雪はだいたいこんなもの。 橋のたもとの雪を乗り越えて行く。 階段を下りるのが怖い。 足跡をたどって歩くのだが、時々その足跡がずぼっとハマって深々とした穴になっている。これは先週写真を撮りにここを訪れたはせやんさん(MistyMoonPhoto)の足跡に違いない、などと冗談を言いながら進む。 動物の足跡やら倒木やらを乗り越え、途中ですれ違った人に沢に下りる足跡のほうが楽だと教えられてそちらに行き、20分強で雄飛滝の滝見台にたどり着いた。 柵を乗り越えて、沢のほうへ。 倒木が何箇所かあった。 対岸の氷柱が見事である。これはすごいぞ。ピンピンに尖がった巨大なツララが岸壁に何十本も張り付いている。だが、やはりここは雄飛滝の滝前に行かなくては話にならない。 夏に来た時は行きかたが分からずに雄飛滝は上からしか見ることができなかった。が、今日は心強い案内人がいる。雪田爺さんに案内されてかつらの木の橋の手前まで来た。ここから沢沿いに歩いて行く。すでに踏み跡も柵を乗り越えて滝のほうに進んでいる。聞くところによると、これは昔の遊歩道なのだそうだ。現在は柵で仕切られていて、入れないようになっている。 ちなみに、積雪が柵と同じくらいだったので、乗り越えるもなにも、柵は何の障壁にもならなかった。かえって罪の意識も無くなって気楽に進めた。 青い矢印が雄飛滝方向。赤は通常の遊歩道。カツラの木をぐるっとまわる木製の橋が見える。 背景に溶け込んでしまったが、カツラの巨木。雪の中、威風堂々として立っていた。 滝見台から10分ほどで滝前に到着。さっそく撮影を始める。 それにしても、すごいのは氷柱だ。下まで来てみると、上から突き刺さるような感じで尖った先端をわれわれに向けている。それが何本もあるのだ。先端恐怖症の人はまずこの場所には立てない。 また、以前見ることができなかった雄飛滝の姿も美しかった。 滝つぼのなんとも言えない青さが印象的だ。すっかん沢特有のなんとなく白っぽく見える青なのだが、どんより濁った感じは一切ない。 左右に氷を従えて、激しく落ちる滝は時が止まったような氷柱とは全く対極のような気がした。それが隣合わせて存在するこの空間は特別な場所のようである。雪田爺さんが一緒で本当によかった。滝前まで来なければ、この感動は無かっただろう。 いや、というより、滝見台から足跡が滝下に向かってのびていたので、それに従っておりて行ってしまって崖から転落していた可能性だってある。実に怖いことである。 もしこのレポートを見て雄飛滝の滝前に行こうと思う人がいた場合、滝見台から直接滝に向かって下りてはいけません。崖である。遠回りのようでもかつらの木の手前まで行って沢沿いをさかのぼろう。たいした時間のロスは無い。 充分に滝と氷柱を堪能して、駐車場に戻ったらお昼だった。それにしても寒い。どこか屋根のある場所でバーナーでコーヒーでも沸かしてお昼にしたいところだ。雪田爺さんが学校平のレストランの軒下なら今は営業していないから使えるだろうと提案してくれて、学校平に行ってみた。 行ってみてびっくり。かなりたくさんの自動車が駐車している。どうやらスノーモービルのコースがあるらしいのだ。レストランもしっかり営業中。これではバーナーでコーヒーどころではない。 仕方がないので、建物の中の休憩スペースでコンビニおにぎりをほうばった。中はあったかかったので、外でコーヒーよりはもしかしたらよかったかも。この建物は山の駅という名称でお土産もあればレストランも案内もトイレもある。ただし、冬場などは休日でないと開いていないので注意が必要だ。 そこでしばらくおしゃべりをして、雪田爺さんに伊勢崎ICまでの道を教えてもらって出発することにした。 途中まで雪田爺さんが抜け道を先導してくれたが、ナビのマズさで最後まで案内してもらえずに分かれてしまった。最後まで雪田爺さんについて行けば30分くらい短縮できたかもしれないのになぁ。 途中で分かれてしまったので挨拶もできなかったが、今回は雪田爺さんのおかげで本当にすばらしいものを見れた。ありがとうございました。 その2 白川氷柱群へ |
交通 雄飛の滝遊歩道入り口 国道400号を温泉街を通りすぎで、源三窟も通り過ぎて行くと有料道路日塩もみじラインに向かう道が出てくる。そちらへ左折。すぐには有料道路のゲートにはならない。やがて温泉宿の並ぶ新湯地区になり、そこを過ぎると左折すると矢板であると案内表示の出ている道路になる。そこを左折。山だけの道をしばらく走るので不安になるが、道路の端に1キロごとに泉まで○Kmと書かれた小さくて青い看板がたてられている。この案内の看板があれば道を間違えていない証拠である。やがて県道56号にぶつかる。ここを右折。あいかわらず泉まで○Kmという看板はある。これが20Kmくらいになったあたりで雄飛トンネルがあり、これをくぐるとすぐに橋。橋を渡るとすぐに右側に駐車場がある。自動車をとめて、もう一度橋を渡り、下流に向かう方向に遊歩道に下りる場所がある。トイレは無いので、塩原温泉あたりですませておくこと。 また、冬季は雪があり、坂道は危険である。軽アイゼンがあれば心強いだろう。雪質がやわらかい場合はかんじきなどもあったら楽かも。 ただし、この日のわれわれは普通の長靴だった。足跡がついていたので困ることはなかった。 |