そのA泊滝へ2006年夏の滝めぐり  そのBそのC雲上の滝へ
茶釜の滝





茶釜の滝
このレポートでは最後に登場する滝だが、
タイトルが「茶釜の滝」なので
最初に紹介する。
さすが、秘境の滝だけあって、
お目にかかるだけでもものすごく苦労する。
両側をすっぽり岩盤が覆っている感じなので、
上から下まで全部を見られるポイントは
限られている。
一眼デジの18o-55oのレンズの広角で撮影。
私のデジカメでは全体が撮影できなかった。




上部の水がハネている部分を
アップにしてみた。




下部、水流の向こう側に
緑の葉っぱが見える。




テラスの縁に咲くトリアシショウマが
滝からの風にゆれていた。






ここからの滝は、
夜明島渓谷の案内看板と対比して見ると
分かりやすいかもしれない。




夫婦滝
滝よりも流木が目立ってしまっている。
なんとも惜しい。
二筋並んで落ちるいかにも夫婦なのだが。





ミソギ滝
こちらは夏の葉っぱに隠されてしまった。
落差はないが、形がよく、
すがすがしい気持ちになる滝である。





ググリの滝
胎内くぐりという場所の上流にある滝
なのだが、その胎内くぐりが
さっぱりわからなかった。
きっと夏草と流木で我々の
視野から隠されていたのだろう。



この滝は正面から横へと
踏み跡が続いているので、
角度を変えて見ることができる。



磨かれた岩盤が美しい。
右欄の渦巻きは、岩盤の感じから
この滝の滝つぼ部分と思われる。





白糸の滝
この滝も水量が少ない時には
形にならない滝である。
しかも、滝が川に合流する部分には
たっぷり流木があったし。
いかにも惜しい。
ゆるやかなで滑らかな斜面を
水がゆるゆると落ちていくさまは、
新緑や紅葉の時はさぞ綺麗だろう。





これは無名の小滝。
しかし、かなり印象深い滝なのだ。
詳しくは、そのCで。





茶釜の滝のすぐ下流にある滝。
しかし、名まえはない。
かなりの落差があるし、姿もよいのに、
名まえがないのは可哀想。
茶釜の滝とは向いている角度が違う。
つまり、川の流れは茶釜の滝から90度
方向を変えて、この滝となって落ち、
また90度方向を変えて、
写真撮影している方向に流れて来るのだ。



落ち口。
滝つぼが見事に流木で
埋まってしまっていたので、
落ち口を撮影。
太陽を浴びて綺麗だ。
茶釜の滝は、この上流右側から落ちている。







ミゾホウズキなんじゃないかなぁ。
河原にところどころ咲いていた。




カラマツソウはもうおなじみ。
標高が高くなったあたりで
見られた。

2006/8/14 茶釜の滝(落差100M)  秋田県鹿角市

家を出発する前から、何度も色々なホームページで茶釜の滝へのアプローチのレポートを読んで、泊滝の上の渡渉はかなりビビっていた。それをなんとかクリアしたので、気持ち的にも楽になった。
だが、あまりにも草がぼうぼうだったため、みごとにハネ滝を見落とし、たぶん滝の落ち口なんだろうな〜という場所を横目に見、何度も渡渉を繰り返して進んだ。
気持ち的には楽になったが、まだまだ先が長いという思いもあるので、今現在何滝のそばにいるのか、なんてことを調べる余裕などないので、とにかく先に進む。
と、流木がごちゃごちゃと積み重なった向こうにこれは間違いないだろうという「夫婦滝」が出てきた。
2本仲良く並んでいる滝はたいてい夫婦滝と名前がつく。この渓谷にも夫婦滝はあったはずだ。
それにしても、この流木のひどさは、いったいどうしたことだろう。積雪がものすごかったことと、それにともなう融雪時の水量のものすごさを物語っているのか。
景観もへったくれもあったもんじゃない。
夫婦滝横を通り過ぎ、またロープのお世話になって急登すると、木々の葉っぱの向こうに綺麗な滝が見えた。
滝名はあとで調べることにして、とにかく撮影。
続いて、どういうワケかこの行程中唯一ネームプレートがあった虎の尾滝に着いた。
逆光だったので写真を諦めて先に進む。
  
こんな場所もジャブジャブ渡る。

    
  
下左:夫婦滝を撮影するダンナ。9時21分。右:虎の尾滝のネームプレート。9時28分。
川を右に左に渡りながら前進する。
どう行くのか迷ったら先を見れば必ずリボンかペイントがある。これは、本当にありがたい。
    
  
木を跨ぎ、赤い矢印に導かれて進んで行く。9時31分。
虎の尾滝から少し行くと、ダンナが「おっ」と声をあげた。
何があるのかと思っていたら、雪だった。対岸ではあるが、大きな雪の塊がどっさりとある。ああ、あれがこの渓谷をふさいでいた雪なのか。では、あそこまで融けたということだろうか。それとも、もっとこの先雪があって、行く手をさえぎるのだろうか。
そんな不安を抱きつつ、またしても川をじゃぶじゃぶ渡りながら先に進む。
すると、目の前が開け、右側が大きく崩れた場所に出た。
  
赤い矢印下が残雪の塊。9時33分。

    
  
斜面が崩落している部分。歩きづらい。9時45分。
岩盤が細かく砕けて崩れ落ちている。また崩れて来るんじゃないかという恐怖はなかったが、ゴロゴロと角張った石が時折動くので歩きづらいったらありゃしない。
そんな開けた場所で、前方に人影が。
おおーー、先客だ、たぶん。
一人の若者で、「滝にいけましたか?」
と尋ねたら「行けましたよ、雪はあったけど」
と、言葉少なく答えてくれた。ありがとう、それで充分です。君が行けたんなら、我々も行くしかないでしょう。
雪、あるんだな、まだ。
道は再び緑深い中に入り、また渡渉を繰り返す。
右手に滝つぼが渦を巻いている面白い滝を発見。あの渦ったら、洗濯機みたいじゃないの。どうやらこの程度の水量の時に出現する渦巻きらしい。
  
渦巻いているの、分かりますか?
そこから少しして磨かれた岩盤を滑り落ちる滝(クグリの滝)の脇を登る。支流の小沢(上流は滝になっている)の上を渡り、大きな岩と岩の間を通り抜ける。
    
  
クグリの滝横の大岩を登る。ここにも赤い矢印がしっかりある。10時8分。
  
上流は静かなながれ。
再び河原に出て、ごろころの石の上をのたのた歩くと、今度は川に注ぎ込むけっこう大きな滝が出現した。白糸の滝である。
ああ、ここにも流木がわんさかと流れついている。
滝下はほとんど埋め尽くされていると言ってよい。
水量が少ないせいもあって、なんとも荒涼とした感じの滝になってしまった。
緩やかな斜度を持つこの滝は、紅葉時にはさぞ優美な滝になるのだろうのに。
白糸の滝を通り過ぎて、すぐのことだ。
先行して歩くダンナが「わはははは」と私を振り返った。
どうした、ダンナ。いったい何があった。
追いついて、その視線の先をたどると、わはははは。
雪のブリッジがあった。
夜明島川の上に巨大な雪のブリッジがかかっている。
え、つまり、なんですか?あの下をくぐって上流に行くってことですか?
あの中央の部分の薄さをごらんなさいな。しかも今日の気温の高さ。いったいいつ崩落するかわからないじゃないですか〜。
  
雪のアーチ。茶色いけど、雪です。10時16分。
それでも、あの青年は滝に行ったというし、くぐらなければならないのなら、息を止めて駆け抜ける覚悟でいた。2人同時にはマズいので、一人ずつ、とか考えながら進むと、あら、巻き道がついているじゃないの。向かって左側の斜面に無理やり人が通れる踏み跡がついている。ずるずる崩れる土の斜面ではあるが、ずり落ちても雪渓の上という感じである。それはそれで怖いけど。
とにかく、草につかまりながら雪渓を巻くためだけにつけられた踏み跡を登り、雪渓を通り越した。
  
矢印の先にダンナ。雪渓の厚みがわかる。
これから先は小滝が連続する。
ちょっと見、どうやって登るのよ、あの滝、と思われるような場所でもしっかりロープが設置してあって、危うい足元にはハーケンのようなものが打ち込まれている。体重を預けてもびくともしないので安心だし、むしろハーケンの上のほうが滑らない。
  
ロープとハーケンを頼りに登る。10時24分。
小滝を一つクリアした所で、またハタと足が止まった。
またしても雪である。しかも、今度はブリッジになっていなくて、崩れている。だが、崩れてくれていたほうが、これから崩れるかもしれないという心配がないだけ安心だ。
それにしてもどうやってこれをクリアするのだ。
案ずることはなかった。これもちゃんと左側に踏み跡がついていた。
もっとも、一部へりではあるが雪の上を歩く場所もあって、ちょっとビクビクする。
  
くずれた雪の脇を歩く。10時27分。
次に出てきた小滝が困った。滝つぼが深くて向かって右側からは登れないので、左側に渡渉するしか無い。そちらがわにロープがついているので、渡渉しなければならないのはよく分かる。だが、渡渉ポイントが無いのである。小滝全体が白い大きな岩でできていて、それがまたよく滑るのだ。小滝自体は落差1メートルもない小さなものだが、滑ったら全身ずぶぬれのキャニオニング必至である。結局滝よりもちょっとだけ下流から対岸に渡り、崩れて落ちそうな岩盤にしがみつき、なんとかロープにたどりついた。このあたりの岩盤も恐らく雪で崩れているものと思われる。まだロープを取り付けて安全を確保するに至っていないのだろう。
さらに上流にいくつかの小滝をクリアしながら進む。川は、だんだんと小さなV字谷のような形容になってくる。水の流れも急だ。
基本的にはロープとハーケンで安全は確保されている。よほどで無い限り足をぬらすこともない。流れに足をとられて転ぶような心配は全くないのである。
    
  
この小さい段差が滑って渡渉困難だった場所。けっこうジタバタした。
    
  
わりと深い場所もある。小滝が連続するが、ロープがあるので安心。
  
V字谷のように川が細くなる部分。足場が斜め。10時51分。
しばらく歩いて、あら、まあ綺麗な小滝があるわ、と思った場所が茶釜の滝と雲上の滝の分岐点だった。
綺麗な小滝の上にペンキでくっきり矢印が右をむいてつけられていた。
つまり、そちらが茶釜の滝、というわけである。
ここで、また一人の青年を発見。彼はもくもくと茶釜方面から下り、雲上方面へと去って行った。たぶん我々の存在には全く気がついていなかっただろう。
それにしても、渓谷の入り口には我々の自動車のほかには1台しか駐車していなかった。先の青年があの自動車の持ち主としたら、今の青年はいったいどこに自動車を置いたのだ?もしかしたら、茶釜滝の上の大場谷地方面から来たのか?それとも、最初に会った青年とケンカして、彼だけ後から下りて来たのか?
詮索はどうでもいいとして、我々はまず茶釜の滝から攻めることにした。とにかく、それだけが目標なのだから、当たり前である。
  
茶釜の滝と雲上の滝の分岐点。
赤い矢印が茶釜、青い矢印が雲上。岩に書かれた赤い矢印は茶釜方面を指す。10時54分。

小滝の上の赤ペンキの矢印どおりに進んでいくと、5分もしないで白い大きな滝が見えた。やや斜め方向からの滝だが、迫力がある。
これが茶釜の滝の下流に落ちる前衛の滝だ。
かなりの流木がこの滝の前にもあって、近づけない。
  
茶釜の下流の滝。とにかく流木だらけ。10時58分。
そして、いよいよ滝から左に目を移した場所にあるものに気がついた。
うわ、これがハシゴか・・・。
まさに絶句である。
ものすごく弱々しいアルミ製のハシゴが長く長く上に続いている。いや、待て、そのハシゴの下にもロープが垂れ下がっていて、斜面とはいえハシゴにたどりつくまでには相当の努力が必要そうである。
ちょっと気が遠くなった。
ハシゴといえばGWに行った双門の滝の連続ハシゴも有名だが、あれは個々がそれほど長くなく、また両側に木が生えていて落ちてもひっかかるだろう、という妙な安心感があった。それに引きかえ、こちらのハシゴはどうだ。両側は土かもしくは草。落ちたらどこにもひっかからずに下に直行である。こりゃ怖い。
まずダンナがハシゴ下のロープにとりついた。けっこう苦労しているのが分かる。私、行けるのかしらん。
それからダンナが1段目の一番長いハシゴを登り終わったのを確認して、ハシゴ下のロープに手をかけた。
    
  
まずハシゴ下のロープにとりつき、登って行く。
    
  
ロープからハシゴに乗るのが一苦労。ハシゴはハシゴで一苦労。
とりあえず斜面であるので、腕の力だけで登って行くようなことはしなくていいのだが、泥の斜面なので滑る。どうしてここもハシゴにしてくれないのかとぶうぶう文句を言いながら登った。登った先のアルミハシゴでもなんでアルミなのよ、とぶうぶう言う。
とにかくいかにも弱々しい。途中足をかける部分がぐにっと曲がったりしているのを見ると、本当に心もとない。マジで心臓に悪かった。今までは暑くて汗が出ていたが、ここでは冷や汗が出た。双門の滝の最後の登りハシゴ付近の岩を登るロープくらい怖かった。
とにかく、一歩一歩慎重に登り、なんとか最初のハシゴをクリア。そこから少し左にずれて2つ目のハシゴ。これもまた下から見た感じより長い。
    
  
二つ目のハシゴを見上げてみた。な、長い。必死で登る私。ホメて。
次のハシゴは斜面にとりつけられているので、階段みたいになっている。もう一つハシゴを登って、ああ、やっと滝が見えた。
茶釜の滝。
思っていたより、ずっと近くに滝があった。
とはいえ、滝の対岸のテラス状の場所なので、滝の水が手にとれるわけではない。
滝前のテラスも狭い。ダンナが三脚を立てて、ちゃんとした写真を撮ってくれるだろうので、高さに腰がひけた私は手前で花などを撮影していた。
ここまで標高が高くなると、ヤマハハコやウスユキソウなどが咲いている。
  
滝前のテラスはこんな感じ。前は絶壁、後ろも絶壁。11時9分。
ダンナはしばらく撮影しているだろうから、恐怖心のある私は先にゆっくりハシゴをおりることにした。
登山道もハシゴも実は下りのほうが苦手なのである。
足を踏み外しそうで、ものすごくゆっくりゆっくり下りた。最後のロープから手をはなした時には心底ホッとした。
あとは、リュックをおろして、ダンナを待つだけである。
考えてみれば、置き引きがいるわけでもないのだからハシゴに登る前にリュックは置いていくべきだった。カメラ一つで充分だったのである。滝前のテラスはあわよくば滝見コーヒーという場所ではなかった。
私がおりて、そんなに時間をおかずにダンナがおりて来た。どひゃ〜、別角度から見ると、ハシゴにとりついているダンナが小さく見える。よく登った、私。自分でホメてやる。
  
赤い矢印の先にダンナがいるのがわかりますか〜?
ダンナが戻って来るのを待って、昼食にした。
前衛滝の前は岩がゴロゴロしていたのだが、ちょうどいい休憩場所がなく、ハシゴの直前の平らな岩をみつけてバーナーに火をつけた。
いつもであれば、小一時間時間をとって昼食休憩するのだが、この日は実はまっすぐ新潟に帰るつもりだったので、あまり時間をかけているわけにはいかなかった。30分ほどで前衛滝前をあとにした。
                 そのC 雲上の滝へ
本文中ではわかりづらいので、時間を追って箇条書きにしてみる。

  9時05分  泊滝上の渡渉
  9時09分  ハネ滝を見落とす
  9時17分  モッコ滝落ち口
  9時21分  夫婦滝
  9時26分  ミソギ滝
  9時28分  虎の尾滝
  9時33分  最初の残雪
  9時45分  崩落地 先客とすれ違う
  10時07分 クグリの滝
  10時15分 白糸の滝
  10時16分 残雪のブリッジ
  10時27分 崩落した残雪
  10時50分 小滝の連続を経てV字谷
  10時54分 雲上の滝との分岐
  10時58分 茶釜下流の滝
  10時59分 ダンナ、ハシゴアタック開始
  11時09分 私、茶釜の滝とご対面。
  11時25分 私、下流の滝前に戻る。
  12時08分 食事を終えて、出発。
滝見台テラスと滝の距離

カメラを横に動かして撮影したものをつなぎ合わせてみた。
左端にダンナが立っている。
これを切り取って半円状にぐにっとまげてみたのが滝とテラスの距離感である。
わ、わかんねーよぉ〜。


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