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   乗鞍の滝たち  




善五郎の滝
見事に凍ってる。
いや、左端のほうが一条落ちているのだが、
それにしてもこんなに全体が凍るんだ。
夏に来た時にはこちらの滝前まで
来ていないので、比較の写真が
無いのが惜しい。


水流が見える部分。
水が動いているので、氷も変化しているらしい。
かなり面白い造形の氷があった。


ほんの一部分だけ生きている水。
氷も生き物のようにうねって固まっている。


その水が落ちる場所。
氷のカーテンが覆っていた。
滝つぼは深く、分厚い氷も積雪も
のみこんでしまっていた。


向かって右側の氷の塊を
すぐそばまで行って見上げた。
圧倒されそうな迫力がある。



何重にもなっている氷。
中世の貴婦人のドレスの下みたいだ。



滝単体の写真だと小さく見えるが、
人間がそばにいると大きいとわかると思う。
赤い矢印の下に私がいる。
氷に触れている。



こちらは、滝全体が入るように引いてみた。
冬の結氷期でないと、この位置には
立てないだろうなぁ。




番所大滝
思っていたほど凍っていなかった。
滝の落ち口あたりには太陽が
さんさんと当たっていた。



滝つぼあたり。
水はとても綺麗だ。



滝つぼが丸く見えるように
雪が周りを縁取っている。



滝は時折氷の彫刻もする。
鷲の頭を発見。




平湯大滝
あまりにショックだったので、
ロクな写真を撮影していない。
下の白い塊が落ちた氷と積雪である。
以前来た時と比べると、
氷がほとんどみんな落ちて、
下の山になってしまっているのがわかる。
2006/2/25 乗鞍の滝たち  (善五郎の滝 20M、番所大滝 40M、平湯大滝 64M)

2006年の氷瀑をめぐる季節もいよいよ終盤になった。今年はよい氷瀑が見られるものと思っていた2月だというのに、思いがけず気温が上がり、ほとんどの氷瀑は消えてしまった。2月に期待をかけて出だしが遅れてしまったのが我々には痛い敗因となった。
しかし、このままでは終われない。
どこか素晴らしい氷瀑で今年を締めくくらなければ。
と、いうことで、色々と調べ、標高も高いし、なんとか氷がもっているであろう乗鞍高原の「善五郎の滝」に標準をあわせることにした。
しかし、この滝の氷の状況は全く分からない。かなり水量の多い滝ではあるのでひとたび氷が崩落したら、あっという間に違いない。もし行ってみて、夏場と変わらない姿だったらどう潰したらいいんだろう。
そんな心配もあったので、ルートを考えて保険をかけた。
乗鞍岳は、長野県側の高原から安房トンネルを抜けると岐阜県、飛騨になる。そこには氷瀑のライトアップで有名な百選の滝「平湯大滝」があるではないか。平湯大滝ならおそらく氷が無くなっているということはないだろう。長野が惨敗でも平湯で取り返せる。
2月25日の当日はよく晴れた。
我々の住む場所から乗鞍高原入りするのには北陸道から上信越道に入り松本ICから一般道で向かうのが一般的である。が、長野道は新潟県境あたりで対面通行になるうえに豪雪地帯を通るので快適なドライブができるとは言いがたい。そこで今回は北陸道で富山入りしてそこから一気に一般道で岐阜まで行くことにした。いったん平湯大滝のある平湯温泉を通り越して乗鞍高原に入るのである。少し遠回りのような感じもするが、富山県を通り抜けるのは意外と短時間で済むので、富山経由のほうが近い感じがした。(これは感覚的なもので、距離的には確実に長野経由のほうが近い)高速道路の利用も短いので安くすむ。だだし、安房トンネルは有料なので、往復すると1500円かかってしまう。
午前6時に家を出発して、11時前に善五郎の滝前の駐車場に着いた。全回は少し上の滝見台への遊歩道を歩いたが、今回は下側の遊歩道である。
少し前に行った横谷渓谷の失敗を踏まないために、しっかりスパッツを装着。状況を見てつけようと軽アイゼンもポケットに入れた。
が、遊歩道から歩いて駐車場に戻って来る人が数組いたのだが、やたら軽装だ。トレーナー姿だし、靴も普通のスニーカーだったりするし。そんなに楽なのか?
楽じゃなかった。
県道から一歩遊歩道に入るだけで真っ白な世界になった。生えている木まで白樺だから、本当に景色が白い。幸い遊歩道の部分は踏み固められていて、少しも足がもぐることは無かったが、一歩踏み外したらずぼっといきそうな雰囲気だった。
  
白い雪と白樺と白い山。
しばらくしたら登り下りが出てきて、これはアイゼンが必要だということになった。持って来てよかった。我々とすれ違った軽装の人たちはどうやって進んだんだろう。いや、まあ、2,3回転ぶことを覚悟すれば進めないことはないんだけど。
階段が出てきて、手すりを頼りにおっかなびっくり進む。やがて水音が聞こえてきて、橋を渡ることになる。おお、橋の欄干まで雪が積もっていて、その上を歩くことになっている。つまり、積雪は橋の欄干の高さだというのが一目瞭然である。
  階段は軽アイゼンがあると安心。

  ちょっと分かりづらいが、橋とそこに積もる雪。
きれいなつぼになっている沢を見ながらもう少し登ると、うわぁ、すごい、氷の壁が出現した。善五郎の滝である。
さすがに暖かくなってきただけあって、全面的に結氷してはいないが、圧倒されるほどの氷だ。
凍っていない時は滝を見るためのスペースは雪の下になっていて、そこから先も雪の上を歩いて行けた。つまり、夏場なら川の中を歩いて進めるのである。滝にずんずん近づいて、滝にぺたぺた触ることもできる。冬ならではの特典である。
ただ滝つぼあたりは氷がなく、雪の塊もごっそりと落ちていた。気楽に滝に近づくと足元が崩れかねない状況にある場合もある。十分に注意しなくてはならない。
しっかりと水が流れているので、そこが水の上だとわかるが、もしカキッと結氷していたら、ついつい深い滝つぼがわに進んでしまうかもしれない。ちょっと危ない。
  写真の右側に滝がある。滝つぼを取り囲む雪が崩れている。

  滝は氷のカーテンが何重にもなっている感じだった。
よく見ると滝の氷は何重にもなっていて、分厚かった。
流れている部分の氷などは何かの動物のオブジェのように見えておもしろい。
我々がさんざん氷の滝の前で撮影したり触ったりしている間、だれも来なくて独占状態だった。

さて、次は番所大滝だ。
善五郎の滝がかなりいい凍り具合だったので、おのずと期待してしまう。なんと言っても分岐瀑でやさしげな水流の番所大滝である。凍るとしたら綺麗に凍るに違いない。
が、駐車場に到着してみると、番所大滝への遊歩道は積雪のため全面通行止めだと大きな看板が出ていた。積雪ですとぉ?
ちょっと覗いてみたが、ちっとも雪なんか積もっていない。そりゃ、腰あたりまであれば諦めるが、積もっていたって善五郎の滝へ行けたんだから、それほど大変なことではないだろう。
ただし、きっちり軽アイゼンは装着する。
大変なことではなかったが、かなり苦労した。
と、いうのも、番所大滝へは階段を下って行く。その階段が全部氷になっていると思っていただけると説明が簡単だ。雪ならもぐるだけなのだが、氷は滑る。ひとたび滑って転んだら、階段の一番下まで行ってしまう。
幸い手すりがしっかりしていたので、手すりにがっちりつかまって、アイゼンの刃を氷につきたてて進んで行った。通常の3倍くらいの時間を要して滝前の滝見台に到着。もちろん、誰もいない。そりゃそうだ。あの氷の階段を下りようと思うのは、相当の滝○かくらいである。
  手すりにへばりつくようにして下りる。

  これは帰りに撮影。階段の上が氷になっている。
らっきー。ちょうど昼時だったので、テーブルと椅子がある滝見台でお湯を沸かしてカップラーメンの昼食にありついた。
さて、番所大滝だが、期待していたほど凍ってはいなかった。
落差がある滝なので、見た目よりも水量は多いのかもしれない。それに、かなり日当たりもいいし。滝の両側に氷の縁取りがある程度である。
厳冬期にはこの縁取りがもう少し立派になるのだろうが、今はかなり小さくなっていた。
夏に来た時には滝見台から下におりて滝のまん前まで行ったのだが、今回は危険と判断してやめておいた。ただ、覗いてみたら足跡がついていたので、かなりの滝○かがチャレンジしたと思われる。
昼食をとって、写真を撮影して、氷の階段を登り始めたら、2人のカメラマンが手すりにつかまって降りてきた。うーむ、アイゼンフル装備である。いるんだなぁ、滝○か。ラーメン食べている時でなくてよかった(笑)

善五郎の滝の素晴らしさからするとかなり見劣りする氷瀑具合だった番所大滝をあとにして、来た道を戻る。また安房トンネルを750円払ってくぐり、平湯大滝へ。
平湯大滝へは踏み固められた雪の上をかなり歩くのよねーと思いつつ、安房トンネルを出て左折し、平湯大滝と書かれた看板の場所に行くと、駐車場の案内人がいた。スキー場に行くのかときかれたので滝に行きたいというと、すんなりそこの道を進んでくださいと教えられた。
あれ、この道は、以前来た時は徒歩でアイゼンつけて登った道じゃないか?
すっかり除雪されて、自動車が通れるようになっている。
このまま滝前まで行けるのか?と思った所に料金所が現れた。
げ、駐車料金を取られてしまうのか。冬季だけ徴収するらしい駐車料金は500円なり。しっかり係りの人がいたので知らん顔するわけにはいかない。
料金所からすぐに駐車場になった。
この位置だと滝からはまだ遠い。国道から滝前までの道のりの半分も来ていないくらいの場所である。ここからは徒歩だ。
だが、歩道には雪があるものの、砂が撒かれていて全く滑らないようにされている。軽アイゼンを覚悟していた身にはかなり拍子抜けである。これなら簡単な靴でも充分に滝まで行ける。
しかも、駐車場の少し上のお土産屋から100円出すとバスが出ていて、滝前まで運んでくれる。足が不自由な人とかお年寄りなんかもこれを利用すれば諦めずに真冬の平湯大滝を見ることができるわけだ。健康な我々は10分弱も歩けば平湯大滝の前まで行ける。
平湯大滝の前まではバスが通るように除雪された道を歩くのだが、これも融雪剤を撒いたのかかなりゆるゆるの雪で、まったく滑らなかった。なんとなくつるつる滑りながら苦労して登る人を軽アイゼン装着で追い越して行ったあの優越感が懐かしくなってしまった。あれはあれで風情があって、真冬らしくてよかったものなのだが。
そんなこんなでかなり楽に平湯大滝の前に来た。
前に来てみて、愕然とした。
あらららららら、凍っていない。
いや、正確には凍っていたのが落ちてしまっている。
滝自体はほとんど氷がなく、下にうず高く氷の山が築かれている。うーむ、あの量の氷が滝の形をして岸壁にへばりついていたのか。
平湯大滝は3月に入るくらいまではちゃんと氷瀑のままでいると、なぜか確信していたので、かなりショックだった。百選の滝で今年の氷瀑をしめくくるつもりだったのに見事に裏切られた気分である。
もっとも、それを滝のせいにするわけにはいかない。
今冬の気温がいつもの年よりも前倒しになっていたというのに、いつもの年のつもりで行動していた我々がいけないのである。
かなり落胆して坂道を戻り、温泉源がトラブルのため使えなくなった足湯の前であつあつの飛騨牛コロッケを食べた。(前に食べたやつのほうが美味しかったです)
その間にバスで来たらしいツアーの人たちがドサドサと滝に向かって歩いて行った。
すっかり公園化された平湯大滝は、観光資源として観光客を集めるのに一役かっている。それはそれで一種の滝のありかたなのかもなぁと思う。
ただ自然のまま落ちているのが滝ではあるが、見事に凍った滝を足腰の丈夫な人だけ見てください、というのはちょっともったいない気もするのだ。誰でも気軽に見れる見事な氷瀑が一つくらいあってもいいじゃないか。その役割を平湯大滝が負ってくれるのであれば、それはそれでいいと思う。

まるで今年の氷瀑めぐりを象徴するかのように氷が落ちてしまった平湯大滝をあとにして、平湯温泉のいいお湯に浸かって、また来た道を戻った。
思いがけず善五郎の滝が素晴らしかったので、とりあえず2006年の氷瀑シリーズは有終の美を飾れたと思う。
さて、来年。来年こそ袋田の滝の氷瀑を見てやる。そのためには、寒い冬になってもらわないと。
滝好きにシーズンオフ無し。春夏秋冬、どの季節も、滝は素晴らしい。

  2004年冬の平湯大滝のレポはこちら
  2005年夏の善五郎の滝、番所大滝のレポはこちら
交通
善五郎の滝、番所大滝  長野自動車道松本ICをおりて、国道158号線で上高地方面に進む。スイカの名産地波田町を通り過ぎると、道の駅「風穴の里」があるので、そこで情報収集をするとよい。
途中、トンネルとトンネルの間で左折して乗鞍高原に向かう道に入る。県道84号である。乗鞍高原、と必ず道案内があるので、見落とさないようにすれば間違わない。
国道158号線がわから行くと、最初に番所大滝に出る。JAなどがある建物が立ち並んだ場所であるが、看板があるのですぐにわかる。一応有料駐車場になっているが、管理人などはいない。駐車場から階段で延々と下る。滝見台の下のスペースへは、踏み跡があるので行けるが、大変危険なので、自己責任で行動するように。
県道84号をさらに進み、いくつかのカーブを曲がったあたりに右側に善五郎の滝の駐車スペースがある。ここから行くと滝前に出られる。もう少し進んで、すずらん橋の手前左がわにもかなり広い駐車スペースがある。ここのすずらん橋がわからも善五郎の滝に行ける。こちらからはかなり高い位置にある滝見台に先に行くことができる。

平湯大滝 上信越道松本ICをおりて、国道158号線をひたすら高山方面に向かって走る。
やがて有料の安房トンネルになる。通行料は普通車で750円である。
安房トンネルを出てすぐの信号を左に行くとすぐに平湯スキー場になる。スキー場の脇の細い道に入って、ややすると平湯大滝公園の駐車場になる。冬場は駐車料金500円が必要だ。
ここから徒歩で10分弱で滝前に出る。
氷瀑のシーズンは混雑が予想される。
公園になったので、あまり重装備をしなくても滝前に行けるようになった。軽アイゼン装着などしたらちょっと奇異に見られるかもしれない。


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