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   イエローフォール  






イエローフォール
正確には滝ではない。
なにせ、夏場は染みくらいでしかないらしい。
磐梯山の伏流水があたりの鉄分を含んで
染み出て来て、こんな色になるらしい。
昨夜降った雪でオレンジが隠れているのが
惜しい。




一瞬だけ見えた青空と。
イエローフォールは、常に逆光か
日陰になってしまうそうだ。




こんな感じの崖に氷瀑はできている。
沢ではないことがはっきりわかる。




近づくとオレンジ色が際立っている。
やっぱりすごい色だ。
もっとくすんだ色かと思っていたが、
実物を見てみてもかなり鮮やかだった。




近寄って見上げてみる。
触れるくらい近寄れる。




向かって左側の氷は白かった。
いつもならこの部分も赤いらしい。
成長すると、赤い部分とドッキングする。





ガイドのサッシーさんと。
ちなみに、サッシーというのは、
ハンドルネームです。
かっこいいお兄さんでした。



サッシーさんが撮ってくれるというので、
ものすごく珍しい二人揃った記念写真。




最後に振り返ったイエローフォール。
我々がつけた、我々だけの足跡が見える。
2006/1/28 イエローフォール  福島県北塩原村  (落差10m)
学研から発行されている「日本の滝1000」という写真集の「幽遠の滝300」に銅の滝(あかのたき)という写真がある。オレンジ色の氷瀑の見事な写真だ。
この写真を見た時に、すごいなぁ見てみたいものだなぁと思ったが、素人が行ける場所にある滝だとは思っていなかった。まず生きているうちに見ることはできない滝だろうと諦めていた。
が、ここ数年、イエローフォールという名まえをちょくちょく耳にするようになっていた。どうもそれは銅の滝と同一の滝で、どうやらスノーシューという道具を履いて行けば、素人でもなんとか行けるルートがあるらしいと分かった。
我々のようにぜひ行きたいと思う人も多く、実は人気のスポットになっているらしいのだ。色々なサイトで調べてみたところ、いきなり行ってもレンタルのスノーシューがあるし、人気の場所なので足跡がついていて、迷うことなく行けてしまうらしい。そうか、そんなに簡単に行けるのか。
俄然、行く気になった。
しかし、である。我々は雪国に住んでいるわりにウィンタースポーツには縁がない。もちろん、スノーシューなんか履いたことがない。どんな代物かさっぱりわからない。ついでに書けば、私なんかは冬のリフトにも乗ったことがない。いくら素人でも行けそうだとはいえ、素人のレベルが違う。まっさらの初心者がぽんと行って事故なく辿り着ける自信が無かった。そこでネットで検索して、日帰りで案内してくれるツアーはないかと探してみた。
イエローフォールへのツアーはいくつかあったが、どれも宿泊がついている。新潟から行く利点のある我々には宿泊は必要ない。が1つあった。BACSSという裏磐梯のアウトドアスポーツクラブが日帰りガイドツアーを開催している。よし、これだ。
さっそく予約。
ガイドとスノーシュー、ストックのレンタル、リフト代と、オプションの昼食と入浴がついて7,400円。この料金が高いと思うか安いと思うかは行ってみないと分からない。
当日までにスパッツだのオーバーパンツだの分厚い手袋だの、冬装備を整えた。

さて、当日。午前8時半の集合に間に合わせるために、家を5時に出発。夏場であればそれほど時間はかからないのだが、なにせ真冬である。高速道の状態も分からない。余裕をもって出発した。
集合の裏磐梯高原ホテルに到着したのは集合よりも1時間も前だった。こんなことならもうちょっと寝ておくんだった。ホテルのロビーで待たせてもらって、ガイドさんが来るのを待つ。ツアーのほかの参加者もいるだろうし。待っていれば合流できないってこともないだろう。
  
レンガつくりに見えるが木のタイルみたいな外壁の裏磐梯高原ホテル
と思っていたら、なんとツアーは我々2人きりだった。おお、最少人数。ガイドさん独占。ものすごいことじゃないですか?
裏磐梯高原ホテルと裏磐梯スキー場を結ぶシャトルバスに乗り、スキー場へ。
スノーシューの持ち方とかリフトの乗り方とかを教わって、まず最初の難関のリフトに。とは言ってもまだスノーシューを履いていないし、夏場の観光リフトには何度か乗ったことがあるので、それほど苦労せずに2つのリフトを乗り継いで、スキー場の一番上まで行けた。
  
リフトをおりて振り返った。白く光っているのが桧原湖。
ちなみに、今シーズンからスノーシューでゲレンデを横切られないようにスノーシューの人は下りもリフトを利用できるようになった。イエローフォールだけが目的であれば、のぼり下りともリフトを利用したほうが安全で早いかもしれない。
リフトをおりて、スノーシューを装着。丁寧に教えてもらったので、しっかりとつけられた。おお、おもしろい。かかとがくっついていないで、思いのほか足が自由になる。ちょっと歩いてみたが、踏むんじゃないかと思っていた枠の部分も踏まずに楽に歩けた。
    
  
我々がレンタルしたスノーシュー。予想外に歩きやすい。
歩き出して、ちょっと驚く。全く踏み跡がない。白一色で新雪のみ。道なんか無いじゃないか。あらかじめネットで調べて、人気のコースだから完全に道が出来ているのだと誤解していたが、雪が降ればそんな跡はあっという間に無くなってしまうのだと実感する。ガイドさんを頼んでよかった。もしいきなり来ていたら、リフトを降りて愕然としていただろう。まず、どっちに行っていいのかさっぱり分からないではないか。
リボンが木々についていて目印になっている、という話だったが、これもまたあやふやなものだ。まず、目的地がイエローフォールである可能性だけではない。磐梯山に登る人がつけた印かもしれないのだ。ガイドさんは、だからリボンをつけられるのはかえって迷惑なんだと言っていた。
少し林の中を歩く。兎の食べた跡だという枝などを教えてもらいながらだったので、スノーシューが歩きづらいとか思わずに進める。やがて、空間が開けた。全く木々がない場所に出る。そのど真ん中を歩いていると、ここが「銅沼(あかぬま)」だと教えてもらった。つまり、夏場であれば水をたたえた沼が凍ってその上に積雪している場所を歩いているわけなのである。水際に立てられた銅沼の看板を裏側から見ている。これは真冬にしかできない体験である。
    
  
銅沼の上を歩く。右は水のある部分から来た方向を振り返っている。
沼の上の方の岩盤から湯気のようなものが立ち上っているので、温泉かしらんと思ったら(こらこら)磐梯山の噴火ガスだそうだ。周辺の木々がその水蒸気がついて樹氷になっている。
沼の端に行くとそこが沼であると分かる凍っていない場所があった。時々間違って落ちてしまう人もいるとかいないとか。知識の無い人間はおいそれとあちこち歩いてはいけない。
沼を渡りきると、岩場になる。ごつごつとした大きな岩の間をコースを選んで登って行く。スノーシューでのぼりはどうなのかしらん、と思っていたが、靴の裏にあたる部分にアイゼンのような爪が出ているので、意外とグリップする。
結構な急登やら、傾斜している場所やらを歩いて、危うくずるずる落ちそうになりながら小高い場所に出た。ガイドさんがここからもイエローフォールが見えると言う。目を凝らすと、遠い山の下側にちょっと赤い部分が見えた。かなり遠く感じた。
  
  
赤い矢印の下あたりにイエローフォールが見える。
  
  
かなり近づいて来た。
体力がある人はもう少し上まで歩くのだとガイドさんが言ったが、あっさりやめましょうと答える。体力は、もちろん無い。それに滝好きにとってのにんじんが目の前ににんじん色を輝かせてぶらさがっているではないか。先に進みたい。
そこから先はなだらかにアップタ゜ウンする雪原で、思ったよりも簡単に滝前に辿り着けた。
だれもいない。そりゃそうだ、踏み跡が無かったんだから、我々が本日一番乗りである。滝前は混雑しているんだろうと勝手に想像していただけに、一つの足跡もない雪原の向こうにあるイエローフォールは、それだけで感動だった。
  
誰の足跡もない雪の向こうにあるイエローフォール。
写真集にあるイエローフォールに比べるとちょっと細い気がする。左側の赤くない氷部分も見事に凍った時には赤い氷柱となり、みごとなオレンジのカーテンになるらしい。
が、ガイドさんの話によると、今年は上々の出来らしかった。
惜しいことに昨晩降った雪がうっすらとかかり、オレンジ部分を覆ってしまっている。
誰の足跡もついていない滝前まで進んで、滝をアップで撮影したり、記念写真を撮影したりしているうちに、上空の雲が切れた。青空が滝の上に広がる。
雲の流れがものすごく早くて、青空が一瞬にして隠れてしまう。次の青空を待って、また撮影。
それにしても、寒い。確実に氷点下で、撮影のために手袋をとっている手がかじかんでくる。立ち止まっていると、寒さがしみてくる。
名残惜しいが出発することにした。
  
実は一番長く滝の前にいたガイドさん。
帰りは、来た道を戻らない。先に書いたようにリフトを利用すれば、苦労なく下りられるが、それではスノーシューの魅力を分からずに終わってしまうだろう。
滝が目的の我々にしてみれば、それでよかったのだが、ガイドさんはそうはいかない。イエローフォールを通り過ぎ、滝から左手の高台に登った。振り返ると高い山々の麓にまだ赤い滝が見える。
  
振り返るとと滝はずっと遠く。
その先は急な下りになる。ガイドさんが適当な場所を選んでくれて、そのまま雪の上を下りて行けると言った。急な下りって、崖に近いくらいの斜面だ。思いっきり引く。かと言って下りなきゃ帰れないわけだし。
ま、ガイドさんが大丈夫だっていうから、危なくないんだろう。
踏み出したら、転んだ。お尻から転んだので、そのままお尻で滑った。これがまた止まらない。つまり、お尻をついた状態でずるるるるるーーーーっとどこまでも下って行けるくらいの斜面なのだ。
わはははは、面白い。雪遊びなんて、いったい何十年ぶりだろう。
新雪がふかふかでちっとも痛くない。
そんな斜面を何箇所かクリアした。
  
こんな急な坂をどんどん下る。
途中、岩場ではカモシカの足跡を発見。遠くの高台にカモシカの姿も見た。足跡を追ってみると、ついさっきまでカモシカが寝ていたくぼみが雪の上にあった。
ゲレンデ近くの林に入ると、動物の足跡や鳥のさえずりが多くなる。
斜面を滑り下りたり、登ったり、時折隠されている穴にズボっと落ちたりしながらあっという間に終点に着いてしまった。
    
  
噴火の時に出来た地割れみたいな地形の場所を歩く。隠された小さな沼も凍って真っ白。
  
時々こんな穴が雪に隠れているので注意が必要。
最後にスノーボードのコースをボーダーが来ないのを確認して横切り、スノーシュートレッキングの終了だ。
帰りのバスの中で思い返してみると、イエローフォールを見たということより、雪遊びしたということのほうが印象深かったりする。久々にはしゃげた一日だった。
ホテルに戻り、ホテルのレストランでセットの昼食。そして、お風呂で冷えた体を温めた。(ホテルのお風呂のレポはこちら
  
ホテルの昼食。じゅんさいの味噌汁つき。
今回はツアーを利用したが、本当に大正解だったと思う。もし、たとえば個人でイエローフォールに行こうとしていたとしたら、まず行き着けなかっただろうし、スノーシューの楽しみ方も分からなかっただろう。
初心者だし、それほどアクティブでもない我々に丁寧に教えてくださったガイドさん(サッシーさん)ありがとうございました。本当に楽しかったです。
ただ、風呂から上がってすぐに体中痛いのに気がついた。こんな筋肉使っていたのか、というくらい体がギシギシ言っている。
トレッキングの最中はそんなに疲れたとは感じなかったのに、かなり色々な筋肉を使っていたようである。
筋肉痛の恐れはあるが、スノーシュートレッキングは一度体験してみるべきだと思う。ガイドつきのコース、おすすめです。
交通
  イエローフォール  厳冬期しか出現しない。最寄ICは磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。ICをおりて、国道115号に出て、裏磐梯方面に進む。途中県道2号へと左折。裏磐梯と案内があるので迷わない。(国道115号を直進してもよいのだが、県道2号のほうが近くて道もよい) 県道459号に合流し、観光地である五色沼を通り過ぎて、桧原湖へ向かう。右手に桧原湖が見え、しばらく走って行くと左側に裏磐梯高原ホテルの看板が見える。
ツアーはここで集合だったので、ここから先はシャトルバスを利用した。
自動車で行く場合はさらに進むと裏磐梯スキー場まで自動車で行ける。
スキー場でリフトを2つ乗り継いで、ゲレンデの一番上まで行く。そこから山側に登って行くが、道があるわけではない。必ずスノーシューを履いて行かないと多分進めないと思う。
15分ほど歩くと銅沼の上に出る。10分から15分ほど銅沼の上を歩き、急登を15分ほどすると遠くにイエローフォールが見える。そこからは5分くらいで滝前に出る。
初心者なので、少し時間は多めにかかっていると思う。


注意  色々なサイトでイエローフォールについて紹介されていて、安易に行ける滝のように思われがちだが、冬場の山であることを忘れてはならない。
まず、雪が降った直後は踏み跡はあてにならない。雪原に放りだされて、遭難しない自信がある人だけチャレンジしてもよいだろう。
さらに踏み跡もあてにはならない。今回スノーシュートレッキングに参加して分かったのだが、スノースシューだと崖に近い斜面でも下りであれば簡単に下りてしまえる。
この下りの踏み跡を勘違いしてさかのぼると、いきなり目の前に崖がそそり立つことになりかねない。
また、目印のリボンがあるから大丈夫と思っていてもいけない。我々が行った時には、リボンは確かにあったが、風にとばされてちぎれかけているものとか、雪に埋もれかけているものも多かった。しかも、イエローフォールに向かう目印とは限らないので、リボンに沿って行ったら磐梯山の山頂に向かっていたということにもなりかねない。冬場の磐梯山の山頂は暴風雪の地獄らしいので命を落としかねない。
つまり、行ったことのある経験のある人についていくか、ガイドツアーに参加することが一番安全で楽しくイエローフォールに行ける方法だと思う。
ガイドツアーは、我々の参加したBACSSのほかにもたくさん開催されている。
まずは、裏磐梯スキー場に問い合わせてみることをオススメする。
どうしても個人で滝まで行きたい初めての人は、日曜の午前10時過ぎあたりにスノーシュー抱えて行く人の後に着いていくと行き着けるんじゃなかろうか。オススメしませんが。
ガイドさんの話によると、日曜のお昼あたりには、滝前はカメラマンで賑わうらしいのだが。
今シーズンから下りのリフトも利用できるようになったので、そちらを利用するプランもあわせて、安全を心がけるようにしていただきたい。

BACSSスノーシュートレッキング
銅沼氷瀑コース料金

  レンタル&ガイド+リフト2本・・・5,600円
  (レンタルなしは4,400円)
  追加昼食・・・1,400円
  追加入浴・・・600円
  追加昼食+入浴・・・1,800円
われわれは、追加昼食と入浴を利用したので、
合計で7,400円だった。結果的に、かなり安いと思いました。

リンク 北塩原村
     BACSS
     裏磐梯高原ホテル
     裏磐梯スキー場


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