そのA善五郎の滝、番所大滝へ2005年夏の滝めぐり  そのB
不動滝、嫗仙の滝



不動滝
思った以上に落差があって、
素晴らしい滝だった。
後で調べたところによると、
この見えている部分は、
三段の滝の一番下らしい。
鑑賞ポイントが遠い位置なのが惜しい。



大きさ比較。
というか、距離を感じてほしい。
手前でカメラを構えているのは、
他の観光グループのおじさん。





嫗仙の滝
あまりにも有名な、
白髪の山姥。
赤い岩盤は、思った以上に赤く、
明らかに真水ではない滝つぼは、
やや白濁したグリーンだ。
ほんとうに異様な形の滝である。



遊歩道は滝のかなり下流に出る。
川の浅い部分を歩いていくが、
滑らない。
滝の手前は何段かのテラス状に
なっている。



大きさ比較。
矢印の先に滝つぼギリギリまで行った
親子つれの父親。
父ちゃんのほうがヤンチャだった。



山姥の穿たれた目。
普通の家くらい楽々入る
巨大な穴である。



向かって左側の流れは、
岩から染み出ている湧き水。
こちらは真水らしく、
岩盤が変色していない。



手前のテラスから落ちる水。
やや白濁して、
つぼはグリーンに見える。


遊歩道には色々な花が咲いていた。






2005/8/15 不動滝 (落差40M(下段))  群馬県長野原町
         嫗仙の滝
 (落差40M)  群馬県草津町

さて、夏休み2日目の8月14日、さすがに親不孝はできないので私の実家に行って一日潰した。翌15日、またしても朝起きてからその日の行動を決めることになった。なぜそんなに行き当たりばったりのことを続けるかと言えば、この夏は天候不順だったのである。
大気の状態が不安定で、いつどこで雨になるのか予報さえも覆されてしまう状況だったのだ。
つまり、起きてみないとその日の天候がよい場所はわからないのである。
で、8月15日、新潟は雨模様だったが、群馬や長野は比較的降水確率が低かった。おととい長野に行ったから、今日は群馬にしよう、ということになった。
だが、せっかくの夏休みである。どうでもいい滝でお茶を濁したくない。
群馬の滝で、滝を見たぞーっという気になる滝はどこだろうか。群馬県には数多くの素晴らしい滝があるが、その中でも見てみたい滝があった。
嫗仙の滝である。
色々な本で見たその奇妙な姿、ぜひともこの目で見てみたい。
あ、嫗仙の滝って言えば、その先には白根山もあるじゃないか。そこにはかなり手軽にコマクサが見られる場所があるはずである。コマクサも見たい。
よし、本日のコースは決定した。
自動車に飛び乗り、大雨の中越地方をかいくぐり、トンネルをぬけるとスコーンと晴れていた高速道路の谷川岳のパーキングで谷川岳の自然水を汲み、月夜野ICで下りたところで気がついた。
そういえば、ダムに沈む川原湯温泉というのがある。あそこには足湯があったはずである。川原湯温泉であれば嫗仙の滝に向かう道すがらに寄ることができる。本日のコースに一つ加わった。
そんなこんなで川原湯温泉に着いたのは、午前10時ちょうどくらいだった。温泉街のめちゃくちゃ狭い道を通り、川原湯神社の一角にある足湯に行く。鳥居の横に自動車3台くらいとめられるスペースがあり、我々はラッキーにもそこに突っ込めた。
  
この鳥居をくぐるとすぐに足湯。

    
  
大人5人も浸かればいっぱいか。隣には約80度の源泉。この源泉は、ダムに沈む予定の川原湯温泉の再建のために群馬県が開発したものだ、と説明書きがある。

  
で、その源泉で温泉たまごができる。

その足湯に至る細い道に不動滝という案内がある。むむ、滝か。
どうせ温泉のオマケみたいな滝なんだろう、と思いながら、こんなに細い道を登って来たんだからついでに見てやろう、という気になった。
さらに細い道を案内板に従って進む。温泉から離れていくじゃないの、と不安になりながら進むと、左手に階段が見えた。滝は階段の先らしい。道路の右側の一段低い場所に駐車スペースもある。そこに自動車を入れて、階段を登った。
    
  
神社までの石段と神社から先の遊歩道。

神社らしい建物の脇をぬけ、さらに遊歩道になっている道を進む。5分も進まないうちに、滝が見えた。
おおーーーー。素晴らしい滝である。緑深い中に美しい流れを描いて落ちている。
すいません、不勉強でした。温泉のオマケの滝だなんて、失礼なこと言いました。
川原湯温泉のHPによると、三段の滝で、見えているのは最下段の40メートルだそうだが、では全体で何メートルあるのかは不明。それでもその最下段だけでも充分な美瀑だ。
ただし、遊歩道は滝の直下までは行っていない。崖の途中までで、沢を挟んでやや遠くに落ちる滝を望むだけである。遊歩道の終点からしか撮影ポイントが無いので、同じ角度の滝しか撮影できないのも残念だ。
ついでながら、この遊歩道の神社のそばでスミナガシという不気味な蝶を発見。初めてホンモノを見るので、ちょっと感激した。

  
スミナガシ。薄暗がりにいて不気味。

滝を見終わって、来た道には戻らずに先に進むと、あっさりと国道145号線に復活できた。不動滝にだけ行くつもりなら、こちらの道を選んだほうが細い道を通らなくてすむのでオススメだ。
さて、本日のメインイベント、嫗仙の滝である。
この滝に行くには草津温泉を通る必要がある。ところが、夏休みのど真ん中のこの日、草津温泉は行く人来る人で大渋滞していた。道の駅草津運動茶屋公園で資料を入手してから嫗仙の滝に行くつもりだったが、そこも自動車がいっぱいで入ることもできなかった。仕方なしに手持ちの滝の本の簡単な地図で向かうことにした。こんなことなら、事前に色々な人のHPで詳しい道のりを調べておくんだった。毎度のことながら、事前の下調べをしない報いがかならず来る。
それでも、うまいこと嫗仙の滝の案内看板をみつけられて、渋滞以外のタイムロスは無いまま嫗仙の滝に向かうことができた。
    
  
遊歩道の入り口にはご自由にお使いくださいのストックがたくさんあった。
入り口の駐車スペースはかなり広かった。5台ほどの自動車が駐車している。これだけの人が滝に行っているということか。
全く知らなかったのだが、嫗仙の滝の近くには森の巨人たち100選のカツラの木があるらしく、それも見たいな、と思った。
それにしても、事前の下調べもなく駐車場から徒歩30分という知識だけで歩き出して、楽勝じゃん、と思っていた自分を反省することになった。
とにかく下るのだ。入り口からまず下る。
だいぶ歩いたな、というあたりであずまやがあり、そこで道は二つに分岐する。急な下り坂の続く往路向けの道と、比較的なだらかだが少し距離が長い復路向けの道である。
どちらから行ってもいいが、やはり下りは距離の短いほうを選んだ。
    
  
迂回路の表示。少し楽という表現が控えめでよろしい。右はひたすら下る道。
すれ違う人たちがひーひー言って登って来る。そうだろ、そうだろ。この下りでは、登る時には本当に辛くなるはずだ。
やや進むと、いい水音が右手から聞こえてきた。木々の間に、もう嫗仙の滝が見えている。おお、写真で見たとおりの赤い岩盤にぽっかりあいた穴、白髪の山姥の顔がそこにある。
  
遊歩道からチラリと見える滝。
だが、道はまだまだ下っている。ようするに、滝前まで導いてくれているようだ。
そこからまた坂を下り、嫗仙の滝の落ちる川にたどりついた。上流に滝が見える。
ちょっと見、滑りそうな赤い岩盤の川の端を通って滝に近づく。滑りそうに見えるが、ほとんど滑らなかった。
大きい。
写真で見ると大きさがよく分からず、穴が想像できる範囲の穴だとするとそんなに大きな滝ではないのじゃないかと考えていた。が、実物はかなり大きかった。
岩盤の色からして、きっと温泉みたいなニオイがすると思っていたが、そうでもなかった。ダンナは滝に向かって立って右手にある少し高くなった場所から撮影。私は主に川から撮影。さんざん撮影して、あまりスペースのない滝前だったが、うまいこと倒木があったのでそこに腰掛けてコンビニおにぎりの昼食にした。
滝前にはもうだれも居なかったが、途中から親子とおぼしき男2人組みがやってきた。我々がおにぎりを食べている間にざばざば滝に近づき、上半身裸になって、滝つぼへと進んでいった。
お、滝に打たれるつもりか?と、期待して見ていたのだが、滝の直下は恐らく思っていたより深かったのだろう。滝に打たれるパフォーマンスはしてくれなかった。
しまいに泳ぎだしそうな親子を置いて、我々は帰り支度だ。さっきまでよく晴れていたのに、急に曇りだして、雨なのか飛沫なのかわからないしずくが上から降って来ている。
森の巨人のカツラの木を探したが、途中にあった案内書きの文字がすっかり消えていて、どこにあるのか分からなかった。
遊歩道に戻り、辛い坂を登って、帰りにとっておいた遠回りの道に入ったところで雨が強くなった。
幸いブナの林の只中だったので、ほとんど雨粒はあたらなかったが、葉っぱにぶつかる雨の音はかなり激しかった。
  
なぜか大小さまざまなキノコが生えていた。下の小さいほうが普通のしいたけ大である。
帰り道はゆるゆると登り、時々階段状になっている道だったが、やっぱり距離は長い気がした。
駐車場に戻ると自動車はもうほとんどいなかった。この雨だもの、滝に向かう人もいないだろう。
本日の滝めぐりはここまで、ということだろう。
オマケ
滝めぐりは終了したのだが、実はもう一つ我々には目的があった。
コマクサだ。
コマクサを見るには、本白根山に行かなくてはならない。いや、別に本白根山でなくてもコマクサはあるのだが、いかにお手軽に見られるかが問題なのである。
草津から、新潟に戻るには、来た道を引き返して関越自動車道を使う手もあるが、そのまま県境を通り越して長野に入り、上信越道で帰る手もあるのである。その後者の方法だと、本白根山の入り口である草津白根レストハウスのまん前を通るのだ。こんなにベストなコマクサ鑑賞ポイントがあるだろうか。
とはいうものの、毎度下調べをしない我々は、とりあえず草津白根レストハウスまで行けばコマクサのありかはわかるんだろう、と思っていた。
しかし、嫗仙の滝を出たあたりから雨が降っていた。雨の中、コマクサを見るために山を歩くのか?それは避けたいなぁ。
国道292号線をひたすら標高をあげつつ走っていく。雨は小降りだが、止まない。殺生河原ではガスが噴出しているのか霧なのか分からない状態だった。レストハウスに着いた時にはもう真っ白。しかも風が強い。傘を出して、とにかくレストハウスで情報収集しようと走った。ごく近くなら傘をさしながらでも見られるだろうし。
資料館が併設されていて、そこにコマクサは湯釜とは反対側にあるらしい、と分かった。分かってもこの霧じゃあなぁ。
レストハウスを出て様子を見てみることにする。と、外に出てみると、霧はあいかわらずなのだが、体が濡れないことに気がついた。霧ではあるが、雨ではないのである。これなら歩けるか?コマクサなら霧があっても見られないってことはないだろうし。
まあ、様子見、ということで、本白根山の登山道に向けて歩きだした。
実はレストハウスから登山道方面に無料シャトルバスが出ていたのだが、我々が歩きだしてからすれ違った。面白くないのでそのままさらに歩く。ほんの15分ほどでリフト乗り場に行き着いた。
あ、動いている。リフトで上までいけるんだ。霧の中、無人でリフトは動いていた。そりゃあ、こんな霧の中、だれも乗らないわなぁ。
ぼーっとそれを見上げていると、そそくさと係員が出てきた。
「あのー、これ、いくらなんですか?」
「片道350円です」
「の、乗ります」
リフトの先は霧の向こうに消えている。様子見のつもりが、さらに上まで行くことになってしまった。だって、350円って、結構お得な金額な気がしません?
他に誰もお客のいないリフトに乗り、上へ。わはははは、幻想的を通り越して、怖いぞ、霧のリフト。
    
  
霧のレストハウス。霧のリフト。気温は下界より15度以上低い。
上まで行くとちゃんと係員がいて、コマクサは右側だと教えてくれた。
なんだか笹ばっかりの道を行くとポンと登山道に出た。登山道は木道だ。両側の草木にプレートがつけられたり説明版がつけられたりしていて、子供の学習の場といった感じである。それに、リフトで登ってしまうと、あとはほとんど登る感じはしないくらいのなだらかな道なのだ。だれもいない登山道を霧に濡れた草花を見ながら進むと、やがて荒涼とした場所に出た。でっかいすり鉢のような石ころだらけの場所である。
      

    
登山道のみちすがらに見た花たちです。名まえは後ほど調べます〜。

  
えーと、すり鉢状の場所なんですが、霧で真っ白です。
で、その石ころだらけの場所にコマクサがあった。
  
コマクサ。おわりかけだったので、綺麗な株はあまりなかった。
あ、小さいんだ、コマクサって。草っていうよりコケみたいな葉っぱだし。それに、栄養もなさそうなガレ場に咲いているんだなぁ、こいつら。
なんでも、盗難にあって壊滅状態だったコマクサを植えて保護して復活させたそうである。可愛いし、手ごろな大きさだし、コマクサはつい持って帰りたくなる花なのかもしれないが、どう見ても普通の植木鉢じゃあ育たない。こんな環境で生きる草だ。栄養豊富で潤った下界では生きてはいけないだろう。
さて、コマクサも見たし、あと少しで山頂展望台と書いてあったが、どうしよう。
登山道の先を見ると、すり鉢の縁をぐるりと回って上のほうに行っているようだが、霧でさっぱり見えない。霧じゃあ言っても仕方が無いか。我々に登頂の趣味は無い。あっさりと引き返すことにした。
帰りはリフトを使わずに歩いておりたが、こんなに登ったのかと思うくらい下りました。やっぱり350円は安い。ついでにリフト乗り場の少し先にあるロープウェイの乗り場まで歩き、無料のシャトルバスに乗ってレストハウスまで戻った。いやはや、お手軽、お手軽。
標高2000メートルを超える場所はやっぱり寒くて、レストハウスではストーブも出ていた。自覚はしていなかったが、体も冷えていたのだろう。帰りに立ち寄った温泉がものすごく気持ちよかった。(温泉のレポートはここへ
交通
不動滝  我々は新潟から向かったので、関越自動車道月夜野ICでおりたが、一番分かりやすいのは沼田ICだろう。ICをおりて、とにかく草津温泉を目指す。国道120号から国道145号沼田街道に入り、中之条のちょっとややこしい部分を145号からはずれないようにして通り過ぎて、やや走ると吾妻渓谷になる。この渓谷を通り過ぎると、左側に川原湯温泉入り口の表示がある。足湯に寄るなら、ここから入って、ごくごく狭い温泉宿の並ぶ道を登って行くと川原湯神社で、そこからさらに細い道を時々現れる案内板に従って進むとたどり着くことができる。単純に滝だけが目当てであれば、川原湯温泉への道を曲がらずに通り越し、国道145号線の脇に流れている吾妻川にかかる栄橋を渡って少し行くと表示板がある。こちらのほうが断然早くて安全。
嫗仙の滝  国道145号線から国道292号線に入り、草津温泉まで行く。草津温泉に入ると、ホテル櫻井の前でT字にぶつかる。ここは右に。バスターミナルなどのすこし込み入った道を道なりに進んで行く。当面の目標は草津熱帯園である。ごちゃごちゃした草津温泉の中で迷ったら、草津熱帯園を目指そう。草津熱帯園の入り口を左に見て通り越し、少し進むと下の写真のような案内板があるので、ここで右折。意外なほど住宅街なので、熱帯園を過ぎたあたりからじっと右側を注意していたほうがよい。
  
実は嫗仙の滝入り口という看板よりもインド料理店の看板のほうが目立つ。この曲がり角さえ見落とさなければ、あとはちゃんと案内があるので、たどり着くことができる。
駐車スペースからは、徒歩20分ほどで滝の落ちる川に出られるが、行きに下って帰りに登る道である。急な下りもあるので、足回りはちゃんとしていたほうが無難。
草津白根レストハウス  上記のホテル櫻井のT字で右ではなくて、左に曲がって、どこまでもどこまでも国道292号線を登って行くと現れる。かろうじてまだ群馬県だ。ここからは湯釜などの観光名所に行ける。駐車代金が普通車で400円かかる。ここに駐車して、湯釜とは反対方向に進むと、本白根山登山道に行くことができる。営業期間であれば、リフト(片道350円)に乗ると、徒歩15分のなだらかな道でコマクサに出会える。

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