2004年秋の福島浜通り滝めぐりその1
   行司ケ滝 その2木戸川渓谷の滝たちへ 



行司ケ滝
あらかじめの資料で
取水のために落差が減少したとあったので、
実はあまり期待していなかった。
が、水量も豊富で、気持ちのいい滝だった。



こちらは、コンクリートの橋の下に見える
行司ケ滝の下がわの滝である。
落差は2メートルほどか。
以前はここまで滝だったのだろうか。



女滝
行司ケ滝から15分しないくらい
上流に向かって歩くと落ちている。
ただし、遊歩道からだと見下げる形になる。
なんとか下まで行けたら、
なかなか綺麗な滝だと思うが。




遊歩道逆コースご案内

県道253号の葛尾村、浪江町の境に入り口がある。
この橋はガードレールから下って、
高瀬川を渡る橋。



5分ほど登ると沢を渡る。
金属の足場板が渡されている。
なんちゃんが戻る時には、
撤収されてしまっていたという
時間期限付きの橋である。



さらに5分ほど登るとコンクリートの
でかい橋が沢を跨いでいる。
これを渡る。



渡るとすぐに滝が見える。


女滝に行くには、観瀑場所の少し手前にある
この梯子を登る。
当日は工事をしていたので、
工事関係者が写っている。



ものすごい急登で滝を巻くと、
いきなり木の遊歩道が出現する。
そこからはなだらかで、
5分少々歩くと女滝につく。



女滝から3分で遊歩道の正式な入り口である。
福島の遊歩道50選、だそうである。
2004/11/13 行司ケ滝 都路村 落差15m

言い訳から入ろう。
ホンの前日の金曜日までは13日の土曜日まで滝を見るつもりはサラサラ無かった。福島に行くのは日帰り。滝オフ開催の背戸峨廊だけ行くつもりだったのである。
ところが、14日の天気予報が下り坂である。今回の幹事の了承を得て裏幹事のはせやんさんから午前9時の集合を1時間早めて8時集合にするとの連絡が来た。
8時か。ってことは、少なくとも5時前には家をでなくては。と、いうことは、4時過ぎには起きなくては。4時だと。真夜中じゃん(笑)
一人3500円までなら、どこかに泊まろう。ということになってしまった。
直前予約はネットで済ませられる。さっそく探して見つけ出したのが、今回の幹事である金さんが前日の夜にP泊する道の駅「ならは」のすぐそばの旅館だった。しかも、一人3000円しない。決まりだ。
土曜日の宿を確保してしまった
話をきけば、ダンナは宿を確保したけど、やっぱり背戸峨廊だけ見るつもりだったらしい。土曜は午後から出発するくらいの予定だったらしいのだ。
しかし、それじゃあ二人で6000円の出費がもったいないではないか。手数料を入れると7000円になるんだぞ、と、主婦的感覚で土曜の滝をピックアップ。しかし、フタを開けてみれば、出発したのは9時過ぎで、行ける滝は限られていた。

滝オフのある背戸峨廊は福島県を大きく縦に3つに割った地方分けで言うと浜通りという地方に位置する。福島県には立派な滝がいくつもあるが、主に会津地方や那須の周辺に集中している。浜通りには滝はあんまり無いのだ。
だもんで、行きがけに会津地方の滝でも見るかと思っていたが、時間的に無理になり、浜通りの滝に変更さぜるを得なかった。
変更した目的地は行司ケ滝である。この滝ならそれほど時間を使わずに行けるだろう。駐車スペースから徒歩10分と書いてあるし。
などと安易に考えて決定した。

決定したはいいが、我々の手持ちの資料である「ライトマップル福島」を見て、眉をしかめた。行司ケ滝は載っている。が、遊歩道が行司ケ滝の上流から行くようになっている。しかも、行司ケ滝の落ち口あたりで途切れている。
林道らしい道は行司ケ滝の下流にもあるのだ。もしやこの地図にはない遊歩道というか踏み跡とかがあるのかしらん。
この地図を信じて遊歩道を行って、滝の落ち口しか見られないとしたら悔しい。
上流と下流では林道が1本ちがって、下流に行ってもし踏み跡も無かったとしたらまた上流の方にまわらなくてはならない。きっと小一時間はかかってしまうだろう。
賭けである。上に行くか、下に行くか。
ま、滝好きなら賭けなどと大袈裟に思わずに迷うことなく下に行くんですけど(笑)なぜなら、滝は下から見てこその滝だからです。
と、いうことで、よく状況のわかっていないダンナをナビして私は下流のほうに自動車を進めさせた。

林道は小さなダムを通り過ぎ、高瀬川沿いを走って行く。紅葉した木々が綺麗だ。綺麗なのはいいが、さて、行司ケ滝の入り口は分かりやすいのだろうか。
地図によると、葛尾村、浪江町、都路村の3つの境がぶつかるあたりに入り口がありそうなのだが。
下流からの道がないとしたら、もちろん入り口もない。内心ドキドキしながら、目印となるはずの境をしめすものを探しながら走った。
と、いきなり路肩に何台も自動車が止められている場所に出た。ふと見ると『浪江町』と書かれたプレートが左側に。おお、ここが境じゃないか。すると、この自動車はもしかしたら滝を見に来た人のもの?
そう思って右手の川側にあるガードレールを見ると切れ間に『行司ケ滝』入り口のものすごく簡単な看板があった。
え、ってことは、隣のわりと幅の広い高瀬川を渡るのか?渡るって、橋は?
疑問に思いつつ空いていたスペースに自動車を押し込んで、川を見下ろしてみた。
橋・・・橋はちゃんとあった。うん、橋だ。橋という以外にないだろう。入り口の看板なみに簡単な丸木をただくくっただけのものが石と石の間に渡されていた。そうか、これで川を渡れ、と。少しでも水量が多くなったら流されてしまう橋だろうなぁ。
ともあれ、橋があるということは、道もあるということである。私は賭けに勝った。

今にも流されそうな橋を渡ると登山道といった感じの道になる。そこをしばらく歩いて行くと、またしても川を渡らなくてはならない場所に出た。今度も橋は渡されている。しかし、おい、こら、これって、ただ金属の足場板を置いただけじゃないの。全く固定もされていない。ものすごく怖い。水深はほとんど無いが足場板ごと流されたらひっくり返って全身濡れてしまうじゃないか。
慎重に渡って行くと板の中央あたりで板がたわんで水面より下になってしまう。けっこうしっかり渡されていたので滑ることはなかったが、それでもやっぱり怖かった。

沢を渡り終えるとまた登山道である。落ち葉を踏みしめながら歩く。が、果たしてこの道でいいのだろうか、行司ケ滝。なんとなく不安になってきた所にエンジンの音がした。
え、エンジン?こんな山の中で?と思っていると、前方からねこ車に動力がついたような代物を押して工事関係者らしい人が2人やって来た。うわっ、この運搬用のエンジンつきねこ車、おもしろい。人が歩くより低速だが、悪路でも大丈夫で力持ちといった感じだ。
道をよけつつ、ちょうどいいので滝はこの道でいいのか尋ねた。
「そうだなぁ、だいたい300メートルくらい先だ」と、わざわざエンジンをとめて教えてくれた。300メートルですか。メートルで教えてくれるのも珍しい。時間で教えられるよりも見当がつけられない(笑)とにかく道はあっているのだと確認できた。

その300メートルを歩いて行くと、前方にデーンと人工の建造物が見えた。橋である。橋?むちゃくちゃ違和感がある。今までずっと山道を歩いて来たのに、どうしてコンクリートの橋があるのだ?しかもどでかい。右手の沢を跨いで向こう側に行っている。
この橋を渡れっちゅうことか?それとも、橋の下を潜って先なのか?
橋の周りには工事中らしくて人が何人かいた。仕方がないので、滝はこの橋を渡るのかと尋ねたら、そうだ、との答え。
気のよさそうな人がその滝の上にも滝がある。これは男滝で上のは女滝だと教えてくれた。実は滝の本で知っていたのだが、そうなんですか、と相槌を打つ。滝の本には女滝への行き方は書いていなかったので、簡単に行けるかときくと、男滝の手前に梯子があって、それを登ってしばらく行くと左側にある、との答えだった。ついでに「なんてこともない滝たけどね」とも教えてくれた。こらこら。
軽くお礼を言って、橋を渡り、行司ケ滝男滝の前に出た。
前にまで行ってわかった。この橋は水道関係の取水のための設備なのだ。滝前にも一見滝見台のような、実は取水設備があり、そこも工事中だった。
その工事の人の邪魔になりながら行司ケ滝を撮影。
思っていた以上に大きな滝で水量もある。この取水設備のために落差が減少したという話だが、それでも見栄えのする滝である。

  
急登して正面から見た滝。

さて、女滝。教えてもらったからには、行かずばなるまい
梯子というよりは急な階段で取水設備の上まで行く。それから、滝の落差まるまる急登で登って行くことになる。
滝の正面からぐるっと回って行くので、角度を違えて滝を見ることができるが、なにせ、本当に急な登りである。このまま永遠に登ることになったらどうしよう、などと思っていたら、ストンと登りは終わった。ものすごく長いこと登っていた気がしたが、5分くらいだった。
目の前に木の手すりがついた立派な遊歩道が出現した。
え、これは、何?
さっきのコンクリートの橋に続いての違和感である。
道は今までの登りに比べたら冗談みたいに快適な沢沿いの遊歩道になった。幅も広くなっている。あちこちに行司ケ滝への矢印まである。
このあたりでイヤな予感はしていた。
しばらく歩くと左手を流れる沢に女滝が見えた。
下まで降りれば綺麗な写真が撮れそうな滝である。が、降りる場所がみつからなかった。あたりはなんとなく薄暗くなってきているし、今日はもう一箇所くらい行きたいと思っているし、無理はしないことにした。

この先がどうなっているのか、もう少しだけ歩いてみることにした。そして、歩いてみて、私は今日の賭けに勝ったんだか負けたんだか、わからない気分になった。
行き着いたのは、遊歩道の入り口だったのである。
自動車が何台かとまっていて、遊歩道の案内の看板がある。
つまり、ライトマップルは間違っていなかったのだ。滝の上流から行司ケ滝男滝のすぐ上まではきっちりと整備された遊歩道ができている。が、そこから先は遊歩道ではなく、山道である。道はあるがきれいに整備されているわけではないよ、ということだ。
うーむ。この遊歩道の入り口まで国道からどれくらい自動車で走るのか分からないが、きっと私たちが選んだコースより短時間で着くのではなかろうか。とにかく、我々は裏側から来てしまったというわけだ。ちょっぴり敗北感がある。
仕方が無いので看板を撮影して戻ることにした。どっちみち、どっちから入っても急な登りや下りをしなければ行司ケ滝を下から見ることはできないんだから、同じである。
そんなことを思いながら、こわごわその下りを下っていると、ダンナがおい、と私をみた。
「なんちゃん」
あら、まあ、坂の下からよく知った顔が登って来ているじゃありませんか。こんな所でなんちゃんと会うとはびっくりである。が、滝好きのこと、どこかの滝で誰かと会いそうな気がしていないでもなかったのだ。
なんちゃんはこれから女滝を見に行ってあとは道の駅「ならは」に行くという。我々はもう一箇所狙っているので、挨拶もそこそこに坂の上と下に分かれた。

コンクリートの橋まで行くと今日の工事も終了らしく、橋の上の落ち葉を掃いていた。女滝を教えてくれた人をみつけたので、見てきましたと報告したら喜んでいた。
この沢の下流、足場板を渡って、沢が左になってから少しすると、女滝よりもやや小ぶりの滝があり、それを撮影しているカメラマンもいた。女滝と男滝の下の滝だから子供滝だろう、なんて話ながら、入り口に到着した。
結局写真を撮影しつつ、遊歩道を往復して1時間強かかってしまった。まだ3時少し前なのに、薄暗くなってきたように感じる。次に目指すのは木戸川渓谷だ。結構距離がある。少々焦りながら自動車を発進させた。

                       その2 木戸川渓谷の滝たちへ
交通
行司ケ滝  
我々は磐越自動車道船引三春ICで降りて国道288号を利用して都路村に入った。都路大橋という橋の手前で左折しようと思ったのに道を見失い都路大橋を渡ってしまった。Uターンして、都路大橋をもう一度渡ってすぐにあった道を左折。ぐるーっとまわって都路大橋の下をくぐる感じの道へ左折。あとは道なりに進んだ。途中から道は未舗装になる。しばらく走ると県道253号に合流。右に高瀬川を見ながら少し走ると写真のような村境に出る。行司ケ滝の入り口は村境の標識が目印である。
  ガードレールの向こう、つまり右手に高瀬川が流れている。プレートには浪江町の文字。ガードレールが途切れている場所が滝への入り口。

  こちらは上の写真の反対側から撮影してみた。プレートは葛尾村と書かれている。ガードレールが途切れている所が滝への入り口。

ところで、きちんと遊歩道の入り口から行こうと思うのなら、国道288号を都路大橋からさらに進む。で、我々が行った道の次の道で左折するらしい。が、なにせ行っていないので、どんな道かどのあたりで曲がるかはさっぱりわからない。
もしかしたら、標識が出ているのかもしれないが、それも不明である。

常磐自動車道、もしくは国道6号から国道288号を利用して都路村に入る場合は、上の説明は逆方向からの説明なので、気をつけるように。

さて、遊歩道であるが、本文中でも触れたように、行司ケ滝の下から上に登る5分がとにかく急である。滝の分だけがーっと高度を上げるわけなので、覚悟すること。
それと、滝の下流側から行く場合は2箇所川を渡る。最初は高瀬川。次は行司ケ滝がかかる沢である。が、この次の沢に渡してある金属の足場板はどうも工事関係者が渡したものらしく、工事が終了すると撤収される(なんちゃん談) 撤収されると橋のない状態で沢を渡る必要があるので、簡単な靴では行くのは無理になる。川を渡ることを避けたいのであれば、上流の遊歩道から行ったほうが無難だ。

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