2005年夏、湧き水を求めて福島 @2005年夏、福島Aへ
蛇追ケ滝、小野川不動滝



蛇追ケ滝
シャッタヘスピードの関係で優美に見えるが、
実はけっこうバシャバシャ落ちていた。
水流は完全に岩盤から離れて、
下の岩に降り注ぐように落ちている。



脇の滝とのツーショット。
距離感が分からないと思うが、
脇の滝は、蛇追ケ滝よりも
少し奥まった場所にあり、
規模も蛇追ケ滝よりもかなり小さい。



大きさ比較。
ダンナが右側の中ほどにいる。



落ち口。
まさに、ぶわっという感じで出ている。



滝つぼはなく、
崩れ落ちた岩盤と思われる小さな岩に
水が当たって砕けている。



板状節理がおもしろい岩盤。
一枚一枚ぺりぺりと剥がれそう。



脇の滝のアップ。
小さいが形はいい。



途中で岩盤に当たって、
ハネている。



脇の滝を撮影するダンナ。
瓦礫を登って行くと、滝前に出られる。





小野川不動滝
想像以上に素晴らしい滝だった。
特に中ほどで岩盤に当たって
複雑に模様を造る様がいい。
湧き水を集めた水も
冷たくて綺麗だった。



大きさ比較。
と言っても、ダンナはけっこう手前にいる。
が、この場所でも飛沫ジャバジャバで、
ここで撮影した写真は
使い物にならなかった。



落ち口。
すごい水の量だ。



滝つぼらしい滝つぼは無い。
雨のあとのためか、
水が少々濁っていた。



ここの模様が綺麗。
2005/9/4 蛇追ケ滝(落差15m) 福島県磐梯町
         小野川不動滝(落差40m)  福島県北塩原村

朝、土砂降りの雨の音で目が覚めた。今日はどこにも行けないな、と思っていた。
が、朝食を食べて少しテレビを見ていると、もうほとんど雨は落ちていなかった。パソコンの前に座っていたダンナが今日の降水確率はそんなに高く無いと言う。であるならばどこかに行かなくては。
さて、どこに行こう。
実は、新潟の滝に行ってもよかったのだが、次に行く新潟の滝のレポートナンバーが100番なので、アニバーサリーな滝を選びたかった。朝起きて適当に選んだ滝ではマズイ。となると、県外の滝か?それとも、滝はやめて、別の目的で行動するか?
最近福島方面に行っていないので、そっちに行こうか。
福島は遠い。もう午前8時をかなり回っている。ならば恒例の上川村のたきがしら湿原に行こうか。いや、そこに行くならほとんど福島じゃないか。
と、いうことで福島に行くことになってしまった。
滝の写真集を開いて、比較的近い磐梯山のふもとの滝に行くことに決めた。
それが蛇追ケ滝である。
ちょっと待て、磐梯山なら近くにまだ行っていない名水百選の湧き水がある。それにも行こう、と、自動車に乗る直前に決めた。
つまるところ、何の資料もなく、出発してしまった。毎度のパターンである。懲りない。
さすがに出発が遅かったので、磐越自動車道を利用して、磐梯河東ICでおりる。
なんか、この道はちょくちょく利用しているなぁという感じの県道7号を通って、有料道路の磐梯山ゴールドラインを目指した。しかし、その道路は使わない。その料金所の手前で七つ森ペンション村という案内がある道を右折する。
ところが、それがよく分からずに我々はその道を通過してしまった。
通過したら、すぐ左側に立派な杉玉が見えた。「栄川」。おお、有名な福島のお酒の工場じゃないか。綺麗な公園風になっていて、おっ、あのポリタンクは?
いかにも水を汲んでいます、といった感じのポリタンクを持った人がいたのである。
造り酒屋で、水とくれば、まちがいなく良質の水だ。自動車を駐車場に入れて、水を汲んでいる人に尋ねてみた。
「これは、湧き水ですか?」
「これは、龍ケ沢の水を酒の仕込み用にろ過したものだよ。もしろ過しないのがよければ、自動車で5分くらいで龍ケ沢に行けるよ」
と、教えてくれた。
いや、龍ケ沢には行ったことがある。確かに駐車場まではそこから5分くらいかもしれないが、その先が徒歩20分はかかる山の中なのだ。ちなみに龍ケ沢の水は日本百名水である。
お土産などが売っているらしい建物があったので、そちらに回ってみると、蛇口のような風情の無いものではなく、ひしゃくで飲める場所があった。
そんなに冷たくはないが、確かに自然水の感触だ。
龍ケ沢の水は歩きが多いので、多量に汲めないが、ろ過したものでよければここで手軽に入手できることがわかった。収穫、収穫。(以前行った龍ケ沢の水についてのレポはこちら
    
  
目印は「栄川」の大きな看板と杉玉。看板の反対側のちょっと高い所に水汲み場はある。
  
  
売店前の水のみ場。
そんなこんなで時間を潰し、結局料金所に出てしまい、Uターンして、七つ森ペンション村への曲がり角に錆びた「蛇追ケ滝」の看板をみつけた。
そこで曲がって、すぐにまた林道へ入る場所に案内看板がある。いかにも林道という道を少し走ってT字にぶつかった。ここには案内が無い。
え、右なの左なの?
轍の後がはっきりしているのは、左側だ。そちらに進んでみると、朽ち果てた不動堂らしい建物があり、そこでパッタリ道は途切れていた。あれ、林道に入るところで滝まで1.5キロとあったのに、まだ1.1キロだぞ。
だとすると、右だったのか?
ということで、また戻り、滝を見に来たらしい白い自動車となんとかすれ違って、反対側の道に入った。が、こっちも道はなくなっていた。じゃあ、あの不動堂から歩けってことなんだ。歩きが400メートルあるってことなんだな。
道がなくなっている場所でバックで戻って、不動堂に来たら、さっきの白い自動車から老夫婦が降りてきて、滝はどこですか、と聞いてきた。
こっちが聞きたい。
反対側は道がなくなっていたと言ったら、不動堂の先にある道へと歩いて行った。
不動堂の裏は、貯水池のような人工的な場所になっている。この下流に滝ってことはないだろうから、やっぱり上流だろう。
我々も老夫婦の後を行く形で歩き出した。
  
打ち捨てられたおそらく不動堂。中身もからっぽだった。

  
不動堂の裏。貯水池のようになっている。

  
遊歩道はおおむねこんなもの。
途中、ややぬかるんでいる箇所がいくつかあり、普通の格好の老夫婦はなかなか進めないでいた。こういう道は慣れている我々は彼らを追い越し、さっさと歩いた。
が、ピタっと足が止まる。目の前に丸木橋があった。
げげ。声を大にして言うが、私は丸木橋がものすごく苦手だ。前世は丸木橋からがけ下に落ちて死んだんじゃないかと思うくらいに大嫌いだ。
ダンナはひょいひょい進む。私とて、先に滝があるのだから、前世の仇でも進まねばなるまい。
一歩足を踏み出して固まる。
この丸木橋、3本の丸木を金属のかすがいでガチっととめてある。その金属が少々浮いていて、すり足で進むと足がひっかかるのだ。足がひっかかったら、転ぶじゃないの。片足を持ち上げて金属を跨ぐ芸当ができるのなら、丸木橋が怖いなんて大声で言わない。
ついでに言うがこの丸木橋、前にあった場所のものが流されたらしくて、流れる沢の水量が多いうえに高い位置に変更になっているらしい。そんな怖いこと、だれがしたんだ。前の場所のほうがずっと気が楽な場所じゃないか。
と、いうわけで、約5メートルほどの橋で、金属を超えるためにたった10センチ片足を上げる作業をするたびにきゃーきゃー騒ぐことになった。だいたい10箇所くらいかなぁ。固まっては騒ぎ、きゃー、ぎえーと言いながら前に進む。
私としては、老夫婦のことは全く念頭になかったのだが、彼らはしっかりこの様子を見ていたらしい。で、あの丸木橋は危険だと判断したらしい。その場で戻ってしまった。
すすすす、すいません。普通の人なら普通に渡れる橋です。私が丸木橋アレルギーなんです。せっかくぬかるみを乗り越えてここまで来たっていうのに、目的の滝を見ることなく戻ってしまった老夫妻に本当に申し訳なく思った。
  
くだんの丸木橋。大したこと無い橋だと笑わないように。

  
滝のそばは、ゴロゴロした岩場。
丸木橋を渡るとまもなく滝が見える。
あ、すごい。
落ち口からぶわっと水が吹き出て、後ろの岩盤に当たることなく落下している。なんとも涼しげな滝だ。しかも、ちょっと首を右にめぐらすと、もう一本小さな滝が奥のほうに落ちている。
なんか、オマケがついてお得な感じのする滝である。
滝の岩盤も板状節理になっていて、なかなか面白い。
滝のすぐ下まで行けるので、飛沫浴び放題である。
丸木橋のおかげで他の見学者がいなくなって、奥の小滝前の瓦礫によじ登ったりして好き勝手に滝を堪能した。
帰りも丸木橋できゃーきゃー騒いで、不動堂に着いたらお昼だった。
不動堂の裏にまわって、水路の脇に群生しているツリフネを見ながらコンビニおにぎり。大きなアリがちょっと怖かったが、なかなかに気分のいい場所だった。
  
水路の脇にはツリフネがたくさん。
さて、次は、百選の湧き水である。
日本百名水はかなりメジャーな百選なので、その場に行けば簡単にたどり着けると思っていた。
ライトマップル福島県版には、不動滝の下流あたりに名水マークがある。とにかく、この名水マークを頼りに進んでみよう。
とりあえず、有料道路は使わずに(笑)少し遠回りになるが県道2号、国道459号と進んで観光名所の五色沼に行く。
地図によれば磐梯吾妻レークラインというこれまた有料道路を使うとメジャーなコースらしいが、ここもまた有料道路を避けて、ホテル五色沼の前の道からレークラインの下をくぐって、小野川湖畔の道を進んだ。
百名水なので、当然案内があると思っていたが、無い。
案内があったのは、小野川不動滝のほうだった。
まあ、不動滝の下流に小野川湧水があるはずなので、そちらに行っても間違いはないだろう。そう思って進んだ。
ややして、不動滝へ行くための駐車場に到着。自動車20台くらいはとめられそうなスペースに何台かの自動車が止まっていた。
そこにあった案内版で湧き水のありかを確かめる。
が、無い。
おいおい、小野川湧水はどこ?
なんだかかなり遠い場所に湧き水の表示があるが、名まえが違うし。
  
  
駐車スペースにあった地図。
とにかく、不動滝に行けばわかるんだろう、と気楽に考えて歩き出した。
不動滝までの道のりは20分と案内版にかいてあった。
鳥居をくぐって、歩き出す。ちょうど仲のよさそうなご夫婦と娘の三人連れと一緒の出発になった。
最初なだらかな登りで、快適なハイキングコースといった感じだった。ので、あっちこっちフラフラと歩いている親子連れを追い越して進んだ。が、すぐに追い越された。
階段だ。石段がおいおいおいとあっけにとられるほど続いている。
実はつい数週間前に階段の登りで無理に急いで気分が悪くなった経験があるので、私はことさらゆっくり登った。
「こういう階段はゆっくり登るほうが辛いのよ」
とか言って、娘と父親がずんずん登って行ってしまう。いいなぁ、若いって。母親もやや遅れ気味だが、ちゃんと続いて行った。いいなぁ、体力あって。
    
  
まず鳥居をくぐり、なだらかな遊歩道を歩く。
  
石段は思ったより長い。

この心臓破りの石段を登りきるとすぐに滝が見える。
おわーっ、デカイ。
  
橋脚のような場所から見える滝はこんな感じ。
ちなみに、我々は湧き水を探しに来たのであって、滝はほとんど眼中になかった。つまり、前もって全く調べていなかったので、毎度おなじみ「湧き水のついでにあるたいしたことない滝」と思い込んでいたのである。
それが、なんともまあ、巨大で美しい滝だ。
幅広で水量が豊かである。それもすぐ近くまで近寄れる。飛沫浴び放題である。
ただ、惜しいことに、橋脚らしい土台部分が残っているのだが、川を跨いで先に進む橋が無くなっていた。
対岸には木の手すりのついた立派な遊歩道があり、そっちに行きたくなる。しかし、今日の水量では川を渡るのは濡れない限り無理である。
  
対岸の遊歩道はグランデコからのもの。
それにしても、湧き水はどこだ?
滝の水は普通の川の水に比べたら綺麗だが、湧き水というほどではない。飲む気にはならない水である。
途中の遊歩道にも湧き水らしいものはなかった。
いつの間にか私的には今回の福島は百名水の一つを見に来る旅になってしまっていたので、ここまで来て湧き水がみつからないのはショックだった。
もしかしたら、向かいに見える立派な遊歩道の先にあるのかもしれない。
と、いうことは、地図にあるグランデコスキー場まで行けば、何かわかるかもしれない。
遊歩道を戻り、少し先にあるグランデコスキー場を目指すことにした。ゴンドラが営業されているグランデコはシーズンオフでも駐車場にもけっこうな数の自動車が止まっていた。
ゴンドラの券を売っている場所にグランデコの周りの自然を紹介しているコーナーがあって、そこでやっとみつけた、日本百名水の文字。
あらら、かなり遠くにあった百貫清水というのが百名水なのか。ということは、不動滝の下流どころかかなりの上流ということじゃないか。
林道の終点、もしくはゴンドラで登った先から1時間ほど歩く必要があるらしい。これでは、今日はとても行けない。
仕方がないので、今回は諦めることにした。
あとは、磐梯山の豊富な温泉の中の一つを選んで入るだけである。(温泉のレポートはここへ
メインのつもりになっていた百名水の小野川湧水には出会えなかったが、それでも、思いがけずいい滝を見ることができた。とりあえず、百名水の龍ケ沢の水を手軽に汲める場所もみつけることができたし。これはこれでいい旅だった。
思いつきのわりには大満足だった。

後で、小野川湧水について調べてみた。
どうも小野川湧水群というのが正しいらしい。百貫清水が小野川の源流として、代表になっているが、小野川と合流する不動沢に流れ込む沢の上流に湧き水があるとのこと。さらにもう一つ、駐車場の奥に続いている林道を1キロほど行くと林道沿いの溶岩の間から湧き水があるとのこと。こちらは「笹清水」という名まえがあるらしい。
小野川自体も周辺住民の水源になっているので、まあ、不動滝が小野川湧水であるという表示は全くの間違いでは無いのかもしれない。でも、飲む気にはならないけど(笑)
交通
栄川磐梯工場(ろ過した龍ケ沢の水)
  磐越自動車道、磐梯河東ICをおりて、案内どおりに磐梯山ゴールドラインを目指す。料金所の手前、左側に公園のように見える工場がある。工場に向かって立って左側の白い倉の前にある蛇口がろ過した龍ケ沢の水である。

蛇追ケ滝

  同じく磐梯山ゴールドラインを目指す。栄川磐梯工場より少し手前に右側に下の写真のような場所に「七つ森ペンション村」の案内看板がある。この道へと右折。
ちなみに、下の写真の赤い矢印の錆びた看板に蛇追ケ滝と案内があるが、錆びていて読めない。
 

右折するとすぐ、という感じで左側に上る林道がある。この入り口には今度はちゃんと読める「蛇追ケ滝」の案内がある。
すれ違い困難な林道を少し走るとT字になる。ここは左に。すぐに不動堂らしいものが出てくる。
ここに駐車スペースがあるので、自動車をとめ、川を右に見ながら道を徒歩で進む。
丸木橋を渡ったりして、15分ほどで滝前に着く。
滝前は岩場で、滝を撮影するのに岩を登ったりするので、足回りはしっかりしていたほうがよい。軍手もあるとよい。

小野川不動滝
最も近いICは、磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。ここから国道115号、国道459号を経て、観光名所五色沼まで行く。
五色沼入り口付近で注意していると、ホテル五色沼の案内があるので、その道へと右折。あとは、ホテル五色沼を右側に見ながら通り過ぎ、レークラインの下をくぐって、道なりに進んで行く。小野川湖が左側に見え、曲がりくねった道になる。
しばらく走ると、左手にキャンプ場に入る道が出てきて、道は右側にカーブする。ここから先は右側に注意して進むと、小野川不動滝の案内が出ている。
右折であるがやや戻る感じの登り坂に入って行く。細い道をやや進むと、駐車スペースになる。ここに自動車をとめて、鳥居をくぐって遊歩道を歩く。15分ほどで滝前だ。
遊歩道は整備されているので問題ないが、滝の前はゴロゴロとした岩場である。もしいいポジションで写真を撮影したいのであれば、足回りはきちんとしたほうがいい。軍手も必要だろう。
ちなみに、グランデコスキー場からもこの滝に来る遊歩道が伸びている。対岸からの滝が撮影できるだろう。
また、小野川不動滝の上流にも同じ規模の入りの滝というのがあるらしい。この滝にグランデコからの遊歩道で行けるのかどうかは、不明である。
  

2005年夏、湧き水を求めて福島Aへ

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