2005年滝納め氷瀑オフ
 中止の滝 

2005/12/24 
12月に入って、新潟県は大雪にみまわれ、滝に近づくこともできなくなった。このままでは、滝を見ないで12月が終わってしまう。それは、マズイ。滝ナシで1ヶ月過ごすことができるだろうか。
まして、今年も終わろうとしている。滝見のしめくくり、滝納めをしなくてはならない。
と、いうことで、雪に邪魔されない滝を近県も含めて探していた。
そんな所にabeさんのサイトで12月21日に見た氷瀑の見事な姿の写真を発見してしまった。おお、もう群馬では滝が凍っている。これこそ滝納めにふさわしいではないか。
そんなこんなであっさりと滝納めの滝は群馬県の中止の滝に決定してしまった。
群馬の滝となれば、春爛漫さんにご挨拶ナシで見に行くわけにはいかない。春爛漫さんのサイトの掲示板に書き込んだら、ご一緒してくださるとの回答が。これは頼もしい。さらに、あぶさんも登山がてら来てくださるとのこと。
3日前に決めたにもかかわらず、あっという間にオフが決定してしまった。
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24日、当日の朝。
天気予報は、新潟県の山間部に大雪警報が出ていると伝えていた。警報と言っても、我々の住んでいるあたりは雪がちらちら舞っている程度。そんなにたいしたことはないだろう、と、とても気楽に考えて、集合の三時間半前に出発した。
めちゃくちゃ甘かった。
そうでなくても豪雪地帯の山間部に大雪警報が出ているのだ。ただで済むわけがないのである。
関越自動車道に入って長岡のジャンクションを通り越したあたりから真っ暗になった。道が分からない。どこまでが道路でどこまでが雪なのかさっぱり分からない。さらに降雪がひどくなり、霧のように視界を覆いつくす。
一応追い越し車線はあるのだが、ときおりある吹き溜まりが怖くて利用できず、実質上の1車線。そのうち、いつの間にか両側の雪の壁が狭まり、本当の1車線に。
もちろん、スピードなんて出せない。50キロ規制が出ているのだが、そんなもん出ていようがいまいが、50キロくらいしかスピードは出ない。
大型車は冬タイヤでもチェーンが必要になり、塩沢と関越トンネルの入り口と出口でいちいちチェーンのチェックがあるためにさらに時間がかかった。
ようやく関越トンネルをぬけ、上信越道下仁田ICを下りた時には、すでに集合時間の10時半になってしまっていた。
なんどか春爛漫さんの携帯に電話をしてみたがつながらない。連絡がとれないまま、とにかく目的地に急いだところ、春爛漫さんから電話が来た。現在位置と遅れたお詫びと、直接中止の滝に向かう旨を告げて電話を切る。
ねぎで有名な下仁田から中止の滝のある上野村は県道45号で繋がっているが、つい最近湯の沢トンネルというトンネルが開通し、峠を越える時間が大幅に短縮された。
  
中止の滝の入り口。橋の手前に2台ほど向こう側に2台ほどの駐車スペースがある。
まさかそんなに早く着かないだろうと、先に滝に向かって歩き始めた春爛漫さん夫妻とあぶさんが駐車スペースから見えなくなる前に到着することができた。
バタバタ仕度をして、挨拶もそこそこに出発する。
いきなり急な登りだ。
いつ降ったものなのか、道にはうっすらと雪が積もり、たっぷり敷かれた落ち葉も手伝ってやや滑りやすい。途中から単管で手すりが作られていたが、つかまれるだけとても安心できた。
    
道はこんな感じ。落ち葉に足が埋まる。
ややして、両側が細いロープの手すりに変わる。少し下る。それから左にカーブして登って行くと観瀑台になる。が、ここは、そのカーブへは行かない。ロープをくぐって沢に向かって下りて行くと隠しロープがあるのである。
その情報をabeさんからいただいていたので、まずあぶさんがおりてみてロープの存在をさぐった。
ロープまではやや斜面がキツイのであぶさんが自分のロープを出してくれた。
男性陣が先に下りて、私と爛漫さんの奥様が残された。二人のダンナは、どういうワケか女房を心配しない。サクサク先に行ってしまう。
  ロープをくぐって、沢側へ突入。

  
赤いのはあぶさんのロープ。

  
白いのが隠しロープ。ダンナから春爛漫さんまでの距離でしかないが、ほぼ垂直。
まずなんとかあぶさんのロープを使っておりて、そこから距離はないがほぼ垂直の隠しロープでおりようとして、ハタと困った。
足場がないじゃん。
無いっていうより、見えないのだ。落ち葉が積もっていて、どこがしっかりした地面かよくわからない。
下から指示してくれてもさっぱりわからない。仕方が無い、腕力でぶら下がるしかない。と、いうことで半分ぶら下がっておりた。
ロープから手が離れたら、岩場を転げ落ちて沢の中である。ちょっと怖かった。
次に爛漫さんの奥様。
う、自分がおりるより、見ているほうが怖い。私、どうやっておりたんだろう、と思っている間に奥様は果敢にロープに身を預ける。ずずず。足場を失って半分落ちかけた。これは、私が体を張って受け止めなくちゃなるまいと思っていた時に奥様がしっかりロープをつかんでふみとどまった。よかった。怪我、なかったですか?
そこから先がまた大変だった。
大きな岩がゴロゴロしているのだ。
いや、岩だけならいい。その岩の下に沢が流れているはずなのに、雪が積もって見えない。どこが沢やらどこが岩やらさっぱりわからない。
いったいどう行けばいいのだ?
ふと見上げると遠くに中止の滝が見える。ああ、見事に凍っているじゃないの。あれに近づきたい。
滝好きに滝は充分なエサである。
  
赤い矢印の先の白い塊が滝。滝までには大岩がゴロゴロ。
あぶさんがその岩を登れますかと心配していたが、エサにつられて登ってしまった。あとは、岩であることを慎重に確認して登れそうな場所を登るだけである。
どういうわけか先頭になってしまったので、にんじんをぶらさげられた馬よろしく進んで行く。
が、ストップしてしまった。
大きく屋根のように張り出した岩があり、その下は氷。どう進めばいいのだろう。ここがabeさんのレポートにあった這って通過したポイントだな。這って氷の上を進むんだな〜?
ま、這いつくばれば体重は分散されるし、氷、割れないだろうな、たぶん。
ということで、できるだけ一点に体重をかけないようにして氷の上を通過。もちろん岩に頭をぶつけないようにしなくてはならない。
思った以上にアドベンチャーである。
  
春爛漫さんはただ今氷の上。ミシミシいっている。
そうこうして、滝の前に出ることができた。
つい昨日まで上のほうまで凍っていたらしいが、今は半分ほどの氷瀑になっている中止の滝が、それでも堂々とそびえ立っていた。
間近で見るとすごい。
くらげ状になった氷がいくつもいくつも重なっている。まるでシャンデリアのような造形である。これを自然が作り出したと思うと、本当に不思議である。
  
中止の滝

    
  
正面から。やはり見上げた氷瀑は美しい。右は、観瀑台からは見られない角度からの滝。
    
  
上まで凍っていたらすごかったんだけど。青空はほんのちょっとだけ。あとは雪がちらほらしていた。
ふと見上げると観瀑台の手すりがすぐ上に見える。その脇に細いロープが下がっている。どうもそれを使えば観瀑台に直通で行けるようだ。
あぶさんが様子を見に行き、するすると登って行ってしまった。
なんだ、あのロープなら怖い隠しロープを使うことも、割れそうな氷の上を這いつくばることもなかったんじゃないのよ。
写真をいくつか撮影して、とにかく楽したいという思いからあぶさんの後を追った。
まあ、ロープのある場所にたどりつくまでもものすごい斜面だったのね。ずるずる滑りながらなんとかロープの先端をつかむ。
ロープは結び目が等間隔でついていて、登りやすそうだった。
事実、途中までは登りやすかった。しかし、その結び目が途中から無くなっているのだ。こらこら、どうして途中で無くなる。
無くなってみて気がついたのだが、かなり結び目に頼って登っていたのだ。
結び目が無くなっている場所から先がまた足場がなくて、ほとんど垂直で泥だらけなのである。
進めない。しかし、おりることもできない。
ここまで来てしまったらロープをぐっと捕まえて登るしかないのである。負けてたまるもんかー。
完全に気力と腕のパワーだけで登ってしまった。
あぶさんは、もう下におりてしまったのか、観瀑台にはいなかった。
下から爛漫さんの奥様が「登れそう〜?」と尋ねて来たので、「腕力だけで登らなくちゃならない所があるので、厳しいですぅ〜」と答えた。
というのに、下から奥様が登って来てしまった。
おいおいおい。上からはフォローできないってば。と、ジタバタしているうちに、奥様はきっちり登って来てしまった。すごい。私より楽々登って来られた。「手袋があるとしっかり握れるのね」なんておっしゃっていたが、絶対に奥様の力がすごいんだと思います。
雪があるので、観瀑台と言ってものんびりできるほど広い場所もなかったが、下で写真を撮影しているそれぞれのダンナを見下ろしながら新潟の雪の様子などをおしゃべりした。
  
観瀑台からは手前の木の枝が邪魔をしている。

  
見下ろすとダンナ二人。あ、小さい。こんなに上だったんだ。
その後、撮影し終えた春爛漫さんとダンナが登って来た。あぶさんはロープを回収して戻って来た。
ふと見ると登って来たロープを支えている木が1本きりでかなりか弱いと気づいた。あとでよくabeさんの掲示板を見たらあれは荷物用のロープだったということ。きゃー、知らないとはいえ、全体重預けて登っちゃったよ。あのロープが切れたりはずれたりしたら、頭から沢に向かって落ちるところだった。
とにもかくにも全員揃ったので、観瀑台で滝をバックに記念撮影。
  
集合写真。滝がちっちゃく見えてしまいますねぇ。
あとは、慎重に来た道を戻った。観瀑台から隠しロープにむかったカーブは本当にすぐそばだった。観瀑台から直接下りている荷物用のロープ、あれがもっとしっかりとしていれば、確実にあっちのほうが楽である。
かなり遅れての出発だったので、もう12時を回っていた。道の駅上野まで戻り、向かいのお蕎麦屋で昼食にした。けっこうボリュームのあるおいしいお蕎麦屋でした。
しばらくおしゃべりしたあと、早々に帰らなくてはならないあぶさんと別れ、春爛漫さんに竜神の滝を案内していただいた。滝前の斜面が崩れていたために近くにいけなかったのだが、綺麗な三段の滝を見ることができた。
  竜神の滝

  
両側にフリルをまとっていて、竜神というよりは貴婦人。

  
手前の斜面が無残に崩れている。
ここで春爛漫さんとお別れ。
来たときの関越自動車道の状況がものすごかったので早めに新潟に戻るつもりだったが、つい甘楽町の名水百選「雄川堰」とかんらの湯に寄ってしまい、ちょっと遅めの帰宅になった。(温泉のレポはこちら
関越道はあいかわらず吹雪。通行止めになっていないだけありがたいと思って恐る恐るの通行になった。
寒さの早い冬だったが、思いがけず年内に氷瀑を見ることができた。しかも、思いもよらずオフになった。今年はあまりオフに出られなかったので、最後にとても嬉しかった。
来年に向けて、いい滝納めになった。
交通
中止の滝
 高速道路から行くには最寄ICが2つある。
一方は関越自動車道本庄児玉IC。ここからは、国道462号線をひたすら走り、群馬県入りする。神流町を過ぎ、国道299号線で上野村に入る。
もう一方は上信越自動車道下仁田IC。ここからは、国道254号線で下仁田市街に入り、県道45号から新しくできた湯の沢トンネルを通って上野村に入る。下仁田ICから国道299号線に合流するまで1時間かからない。
中止の滝は、国道299号線から県道124号に入り、御巣鷹の尾根という標識を目指して走る。道の駅上野がわから走って来た場合は、右手に郷土玩具館があり、それを通りすぎて、左側に郵便局がある場所が曲がり角である。(下仁田ICから来た場合は反対側なので郵便局は右側に見える。国道299号に出て意外とすぐだ。玩具館まで行ってしまったら行き過ぎ)
県道124号線はやたらにトンネルが多い。特にずーーーっとカーブが続いて、こいつはループになっているのか?と思えるくらいのトンネルがおもしろかった。トンネル群をいくつかすぎると、銚子橋というそれほど長くない橋があり、その手前に青い看板で中止の滝と案内がある。説明版もあるので、すぐにわかると思う。
とにかく御巣鷹の尾根をめざして行けばよい。
竜神の滝
 すす、すいません。ただついて行っただけなので、実は行きかたがよくわかりません。(こらこら)
国道299号線からの目印はヴィラせせらぎという公共の施設。その近くの道に入って行く。その先に野栗キャンプ場がある。このキャンプ場の中に滝はある。


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